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2008年02月01日(金) 08時01分

【政論】中国製ギョーザ中毒 首相は「輸入停止」決断を産経新聞

 5歳の女の子が一時重体となった中国製ギョーザ中毒事件の被害が拡大している。中国の不衛生・毒入り製品の問題は相次いでおり、単なる一企業の問題とは思えない。平成16年には中国製ダイエット用健康食品を服用した岩手県の女性が亡くなった。2006年にはパナマで、中国製偽造薬が成分のせき止め薬で、幼児ら多数が死亡したと報じられた。

 福田康夫首相は、事件を中国の構造的な問題ととらえ、中国産食料品や医薬品の輸入の一時停止に踏み切り、再発防止のため強い姿勢で対中交渉に乗り出すべきだ。

 首相は31日の参院予算委員会で、先の訪中で温家宝首相と「食品の安全が両国共通の課題」だと確認し、残留農薬の検査技術の研修を表明したと説明。「今回の問題も、そういう枠組みの中でも話し合いを進められると思う」と語った。

 だが、そんなレベルにとどまる問題だろうか。「何をやりたいのか見えてこない」といわれる首相にとって、今回の事態は国民のため先頭に立って働ける絶好の機会のはずだ。それなのに、省庁任せの感がぬぐえないのはなぜだろう。

 国内の事件なら警察や厚生労働省、自治体などで対処できる。だが、今度の相手は中国政府と中国社会そのものだ。首相が真っ先に憤りの声を発し、早急に中国政府とのトップ交渉に乗り出すほど効果的な対策はない。

 BSE(牛海綿状脳症)感染牛の発見では米国産牛肉の輸入が長く停止された。今回はすでに全国で被害者が出ている。施政方針演説で「今年は生活者や消費者が主役となる社会へ向けたスタートの年」と宣言した首相だが、国民の生命と健康を守る言行一致のリーダーになれるか。首相には中国産品の脅威から国民を守る気概をみせてほしい。(榊原智)


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