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2008年02月01日(金) 01時02分

中国国内で報道されず ギョーザ中毒「慎重に対応」朝日新聞

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、製造元の天洋食品廠公司の地元・河北省と中国政府の検疫当局者が31日午後、相次いで同公司の工場に立ち入り検査をした。

立ち入り検査のため天洋食品の工場を訪れ、日本の報道陣の質問に答える河北省の検疫部門の幹部=31日午後、中国河北省石家荘市で

検査のため、天洋食品の工場に入る河北省の検疫部門の幹部(手前)=31日午後、中国河北省石家荘市で

 河北省の検疫部門の幹部は同公司の正門前で「今回の事態は重く受け止めている。昨夜から工場内を調べている」「(日本の消費者に)徹底した調査をすると伝えて欲しい」と語った。

 こうした素早さと裏腹に、中央テレビなど中国主要メディアは、事件をほとんど報じていない。天洋製ギョーザは国内市場にも出回っているため当局は回収を決めたが、大部分の消費者、小売店は事件を知らない。

 「中国と日本のメディアでは報道に対する姿勢や方法が異なる。科学的かつ完全な調査結果が出ていない現段階では慎重な対応をすべきだ」

 31日、中国外務省の定例会見で「なぜ中国メディアが事件を報道しないのか」と問われ、劉建超報道局長が答えた。中国筋によると、昨年夏にあった北京テレビの「段ボール肉まん捏造(ねつぞう)報道」以降、中国当局は食品安全にかかわるマイナス面の報道の規制を強めた。

 しかし、公表しないことで対応が遅れる可能性がある。北京の複数の大手スーパーは「事件のことは知らず、回収が始まっていることも聞いていない」と口をそろえる。

 天洋食品は年約3000万元(約4億5000万円)の売上高を誇り、03年10月には、輸出の際に検疫を受けずに地元検疫当局の書類審査だけで済む優良企業に指定されており、「全国でもトップレベルの企業」(国家品質監督検査検疫総局)だ。

 零細企業がつくる国内向け食品は、より危険性が高く、残留農薬によるとみられる事件が後を絶たない。中国各紙によると、河北省保定市の学校の食堂で昨年12月、ギョーザを食べた約25人の学生が腹痛や嘔吐(おうと)に見舞われた。ニラに残っていた農薬が原因とみられている。1月29日にも江蘇省通州市で、まんじゅうを食べた5人に農薬による中毒症状が出た。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/international/update/0201/TKY200801310355.html