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2008年01月31日(木) 00時00分

撤去・使用中止の動き広がる 中国製冷凍ギョーザ朝日新聞

 レストラン、居酒屋、学校給食……。中国製冷凍ギョーザによる薬物中毒の発覚から一夜明けた31日、有機リン系農薬が混入していた中国の工場の製品を自主回収したり、使用を中止したりする動きが、各地で一気に広がった。事態を重視した自治体も百貨店やスーパーなどの立ち入り調査に乗り出し、各店舗は緊迫した雰囲気に包まれた。「何を買ったらいいの」。食への安心が崩れた消費者は戸惑いを募らせている。

商品が撤去された棚に掲示された「お詫びとお知らせ」の張り紙=31日午前10時30分、神戸市東灘区で

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 大阪、和歌山などでスーパー138店舗を展開する「オークワ」(和歌山市)は、薬物中毒が発覚した30日にジェイティフーズの冷凍食品を撤去。31日朝には新たに、味の素冷凍食品、江崎グリコ、マルハの該当商品も店頭からはずした。秘書・広報課の担当者は「今回のようなケースが起きると、小売店では安全面に関してチェックしようがない。メーカーや商社はもっとしっかりしてほしい」と要望する。

 コープこうべ(神戸市)は兵庫県内の約150店舗で、店頭や売り場に「お詫(わ)びとお知らせ」という告知文を掲示した。すでに商品は店頭から撤去している。

 スーパーや百貨店、小売店などに対する自治体の立ち入り調査も始まった。

 京都市南保健所は食品衛生法に基づき、職員2人が午前10時から同市南区のスーパーに入った。今後、市内のスーパーや小売店に対し、回収対象となった商品の撤去状況や客からの健康被害の申告などを確認する。回収対象商品以外でも中国製の冷凍食品があれば、持ち帰って残留農薬の有無などを検査する方針。

 大阪市保健所も市内24区の各保健福祉センターを通じ、スーパーや百貨店などの量販店約500件を対象に、立ち入り調査を始めた。各社が自主回収を決めた商品が店頭から撤去されているかを確認する。大阪府は、該当商品の撤去や返品を徹底指導し、場合によっては立ち入り調査も行う。

 高砂市で中毒被害が出た兵庫県は31日朝から、各地の健康福祉事務所を通じて、ほかに中毒患者が出ていないか確認している。さらに、県内に店舗がある大手コンビニ店やスーパーなど46業者に対し、(1)「天洋食品廠公司」製造の食材を使用した商品の速やかな撤去(2)消費者への積極的な情報提供——などを求めるファクスを送付した。県生活衛生課の担当者は「再発防止のためにも、国を含めた関係機関で意見交換し、今回の連絡態勢の問題などを検証する必要がある」と話す。

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 中国製ギョーザやジェイティフーズの食材を学校給食で使っていた自治体は、31日になって急きょ献立を変えるなど対応に追われた。

 奈良県橿原市教委は、2月15日に市内の小中学校計22校の給食で出す予定だった冷凍水ギョーザ(約1万2千食)について、別の献立に変えることを決めた。問題となった商品とは別だが、ジェイティフーズの中国製商品だった。

 京都市教委も、2月7、8日の市立中学校70校の給食に出す予定だったジェイティフーズの冷凍の春巻きや肉シューマイ、ギョーザを別の食品に変更することにした。担当者は「中国産ではないが、念には念を入れた」。

 静岡県三島市の小学校では、この日の給食に出す予定だったギョーザを取りやめた。問題となった食品会社からの輸入ではないが、市教委は「不安感が広がっている」と判断。児童と教職員合わせて770人分を「すべて国産」というシューマイに変えた。

 文部科学省は30日夜、学校給食用食品の安全に万全を尽くすよう求める緊急の事務連絡を都道府県教委に出した。これを受けて各都道府県教委は市町村教委に同様の注意を呼びかけている。

http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK200801310037.html