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2008年01月31日(木) 04時16分

「農薬、相当な高濃度」専門家指摘 ギョーザ中毒問題朝日新聞

 中国製冷凍ギョーザによる毒物中毒問題は、今後は農薬の混入経緯の解明が焦点となる。千葉県警と兵庫県警は輸入元などから事情を聴き、業務上過失傷害や食品衛生法違反容疑で調べる方針だ。両県警によると開封前に袋が破られたり、注射針で刺されたりした跡はなかったという。

 厚生労働省の藤崎清道食品安全部長は30日夜、「通常の残留農薬では考えにくい急性症状が出ている」と述べ、発生件数が限られていることなどから、野菜などの生産段階で使用された農薬が中毒の原因となった可能性は低いとの見方を示した。

 東京聖栄大食品学科の真木俊夫准教授(毒物学)によると、食品を通した有機リン系毒物による健康被害はきわめてまれ。「ギョーザであれば加熱により有害物質はある程度、分解されたはず。それでも重体者が出たことから、相当高濃度だったことが考えられる」と指摘する。

 農林水産省農薬対策室によると、農薬の国際的な安全性評価では、メタミドホスを一度に摂取した場合に健康に大きな影響を与えないとされる上限は体重1キロ当たり0.01ミリグラム。体重60キロの人間だと0.6ミリグラムとなる。

 真木准教授は混入の経緯について「ギョーザの具や皮の原材料に残留農薬があったとしても、ここまでの影響は考えにくい」といい、兵庫県警などの調査でメタミドホスが包装物からも出ていることを挙げ「工場での製造の過程で混入した可能性が高いのではないか」と話す。

 中国内で日本向け加工肉食品を製造している会社経営者によると、メタミドホスは工場内に侵入してくる虫を除去するための殺虫剤で使われることがあり、ギョーザ工場で過って原料に混入した可能性もあるという。

 製造元の天洋食品廠公司の職員は朝日新聞の電話取材に「責任者がいないので、詳しいことはわからない」と述べた。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0130/TKY200801300343.html