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2008年01月31日(木) 23時29分

<中国製キョーザ>経費削減が裏目、給食も「もう使わない」毎日新聞

 中国製冷凍キョーザによる中毒事件の影響を受け、輸入元の「ジェイティフーズ」の商品を給食に利用していた全国の小中学校が他社の商品に変えたり、外食産業も国産への代替を検討するなど「脱中国」の動きが目立っている。コストカットのために大量に使用されてきた中国製食品。その安全性の信頼が大きく揺らぎ、利用現場の混乱を招いている。

 「中国製の加工食品を排除するのは現実的に無理。メーカーの信用で購入するしかない」。栃木県内の給食センターなどに食材を納入している同県学校給食会幹部が困惑する。栃木では、22小中学校と県立特別支援学校1校の計23校で今年度、ジ社の「ロールキャベツ」を使用していた。

 神奈川県厚木市も今年1月に小学校10校がロールキャベツを給食に出した。同市教委は「料理にバラエティーを持たせ、経費を抑えるため購入した。もう使わない」と話す。

 茨城県では昨年4〜12月に、県内の小中学校13校でジ社の冷凍食品を給食に出した。千葉県は調査中。東京都では保護者の意向を受け、パンやそばを除き冷凍食品など加工品を使っていないという。

 北海道釧路市教委は、国産製品でもジ社製品を使わないことにした。2月8日に予定していたジ社の肉団子は取りやめた。

 岐阜市教委は、市立幼稚園、小中学校、養護学校計76校・園で2月中下旬、ジ社の冷凍春巻きを使う予定だったが、他社の国内産春巻きに変えた。同市教委学校保健室は「子どもの食の安全、安心を確保するとともに、保護者の不安解消のためにも中国産の冷凍食品は控えたい」と話す。 大阪市教委は、中国産食品からの残留農薬検出が昨年相次いだことを受け、1月から中国産冷凍食材を使用していない。奈良県の橿原市教委も「中国の別工場の製品だが、ジ社製は子どもや保護者の心情を考えやめる」との考え。2月中下旬にジ社のギョーザのスープを変更する。同県大和高田市も国産ながらジ社製品の変更を検討している。

 愛知県教委は31日、市町村教委と県立学校に、中国・天洋食品の商品を給食に使わないよう通知した。県教委の担当者は「現時点では、学校給食で健康被害があったという情報は入っていない」と話している。

 ◇半数がセンター方式、安く大量購入

 給食はかつて各小、中学校の調理室で作られていたが、64年ごろから複数校の給食をまとめて作る給食センター方式をとる自治体が出始めた。06年5月現在、全国の小中学校の54%にあたる1万6345校が給食センター方式を採用している。

 センターでは安く大量購入できる。さらに冷凍食品は、短時間で調理でき人件費を抑えることができる。中国産だとさらに安い。

 各センターなどは、業者から農薬や食品添加物などの検査結果を提出してもらっているという。しかし、全国学校給食会連合会(東京)の八木澤寿二(としじ)常務は「子どもの健康に関わる問題。業者へのチェックを厳しくするなど、全国的に冷凍食品への警戒感が強まるだろう」と話す。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080131-00000175-mai-soci