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2008年01月31日(木) 21時10分

<中国製ギョーザ>胡主席訪日前の早期収拾目指す毎日新聞

 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザの中毒事件では、中国政府の素早い対応が目立つ。胡錦濤国家主席の今春の訪日や8月の北京五輪を円滑に実施するため、日本国内の対中感情悪化を最小限に食い止め、早期収拾を図っていく方針とみられる。

 日本側から事件の通報を受けて約24時間後の31日午後、中国外務省と国家品質監督検査検疫総局が相次いで記者会見を開いたが、海外で発生した事件への「中国政府の対応としては異例の早さ」(北京の外交筋)と受け止められている。

 中国政府は今年8月の北京五輪の円滑な実施に向けて対外イメージの向上に取り組んでいる。中毒を起こしたギョーザは北京から遠くない河北省石家荘の工場で製造されていたことから、北京五輪の期間中の「食の安全」が懸念される。

 また、中国では春節(旧正月=今年は2月7日)に家族でギョーザを食べる習慣がある。中国当局はこの時期、身近なギョーザによる食中毒事件は国内でも人心の動揺につながりかねない。

 さらに、中国元首としては98年以来となる胡主席の訪日は中国にとって対日関係を安定軌道に乗せるための試金石といえる。中毒事件の処理が長引けば、東シナ海のガス田開発問題や歴史認識、台湾問題など「敏感な問題」(中国外務省)が再燃しかねない。

 中国政府関係部門の報道官らは31日、中毒事件の被害者が「一日も早く回復するよう願っている」とコメントしたが、これも事態の早期収拾を願う中国政府の立場を反映したものといえそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080131-00000146-mai-cn