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2008年01月31日(木) 13時38分

<中国製ギョーザ>各地で不安の声 学校給食で除外の動きも毎日新聞

 「だいじょうぶなのか」。殺虫剤が混入した中国製冷凍ギョーザによる被害が発覚して一夜明けた31日、各地の保健所などに不安の声が相次いで寄せられた。輸入業者へは抗議電話が殺到。生協やスーパーは問題となった商品の撤去や回収作業に追われ、学校給食からの除外の動きも出ている。中国産食品への不信感が列島を覆った。

 購入者から中毒被害が出たコープ花見川店(千葉市花見川区)では31日朝から店員が対応に追われた。川上保史店長は疲れ切った表情で「お客様への周知徹底をどうするか考えている。既に商品は撤去し、おわびの張り紙を掲示した。店内放送を流して理解を求めたい」と話した。

 月に1度ほど、回収対象となっている冷凍ギョーザを購入していたという30代の女性客は「1月初めにも家族5人で食べた。報道を見て驚いたが、何もなかったのでほっとしている。中国産は怖くて買えないので、これからは産地の確認をします」と不安そうな表情で話した。

 輸入元の「ジェイティーフーズ」(東京都品川区)には、30日午後5時から苦情や抗議、返品の手続きに関する電話が殺到した。親会社の日本たばこ産業によると、ジェイティーフーズの社員約20人が24時間体制で対応したが、1時間あたり50本のペースで電話がかかったために回線がすべてふさがり、つながりにくい状況になることもあった。「すでに食べてしまったが問題はないのか」など健康面の不安を訴える電話もあったという。

 混乱は全国に拡大した。

 栃木県ではジ社が自主回収している商品「柔らかく煮込んだロールキャベツ(トマト味)」が今年度、県内の27小中学校の学校給食で使われていた。同県学校給食会によると、1市3町の給食センターに納入しており、最近では今月24日の給食に出た。31日現在で、健康被害の報告はないという。

 岐阜県教委は、市町村教委に学校給食でジ社の23品目を使用しないよう通達を出した。岐阜市教委は、2月の学校給食の献立で予定していたジ社の春巻きを、他社の国産品に変更することを決めた。

 同市教委は30日夕、過去2カ月間さかのぼって学校給食の食材を調査した。その結果、07年12月に同市内の幼稚園、小学校、中学校、養護学校計76校で1回、ジ社の冷凍春巻きを献立に出したことが分かった。自主回収対象商品ではなかったという。市教委は安全性が確認されるまで当面、ジ社の冷凍加工食品を給食で使用しない方針を決めた。

 また岐阜県は県内スーパー、生協など182店舗に対し、ジ社が自主回収している冷凍食品を店頭から撤去するよう求めた。

 福岡県の「エフコープ」(本部・篠栗町)では電話での回収呼び掛けを昨年1月以降の購入者に拡大した。

 やはり電話連絡の対象を拡大した「生協コープかごしま」(本部・鹿児島市)の担当者は「不安の声も寄せられており、さらなる被害拡大も予想されるため、100〜200人体制で対応している」。

 北海道内の各スーパーは、30日から31日午前にかけて、次々と発覚する対象商品の撤去と購入者への対応に追われた。道食品衛生課によると、札幌、函館など各地の保健所には対象商品を問い合わせたり、不安を訴える電話が続いている。

 山口県は午前10時過ぎ、問題のギョーザを販売していた量販店など計約250店舗を立ち入り調査した。

 大阪府は30日夜から府のホームページで「緊急情報」として注意喚起を始めた。「当該商品は絶対に食べないでほしい」と呼び掛けている。府民からの問い合わせは、保健所の食中毒の相談窓口で対応した。

 京都府宇治市のイトーヨーカドー六地蔵店は、30日が冷凍食品の特売日で「中華deごちそう ひとくち餃子(ぎょうざ)」を通常の半額で販売。約20個売れたところで「農薬」のニュースが飛び込んだ。ポイントカードで連絡先の分かる客には店から連絡を取り、店に張り紙をして注意を呼び掛けている。

 一方、世帯当たりのギョーザ消費量が日本一だとして、街づくりが行われている浜松市でも、スーパーを中心に回収対象商品の撤去が相次いだ。

 餃子のまちをPRする市民団体「浜松餃子(ギョーザ)学会」の斎藤公誉(きみたか)会長(41)は「市内のギョーザ店は手作りの個人店が中心なので消費は落ち込まないだろうが、全般的にギョーザに対するイメージが悪化しないか心配」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080131-00000066-mai-soci