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2008年01月30日(水) 21時40分

<中国産ギョーザ>JTの経営戦略に大きな影響毎日新聞

 日本たばこ産業(JT)の子会社、JTフーズが販売した輸入食品が深刻な食中毒の原因になった。JTは積極的なM&A(企業の合併・買収)で食品事業の強化を図っているだけに、今後の経営戦略に大きな影響を与えることが予想される。中国食品の安全性に対する不信感がさらに高まることは必至で、中国からの原料や製品の輸入に頼る他の食品メーカーや、小売りにも影響が広がりそうだ。

 JTは国内たばこ事業が頭打ちになる中、海外たばこ事業と食品事業を今後の成長戦略の核と位置づけている。冷凍食品事業では昨年11月に、日清食品と共同で大手の加ト吉の共同買収を決めた。4月に3社の冷凍食品事業を加ト吉に統合する予定で、「食品業界の再編の核になる」(JTの木村宏社長)と、更なる事業拡大に意欲を見せていた。

 しかし、食品メーカーの根幹にかかわる安全面で問題を起こしたことで、信頼回復の取り組みを優先させなければならない状況に追い込まれた。日清との提携は見直しを迫られる可能性もあり、今後のM&A戦略でも相手先から敬遠されることも予想される。

 JTは、食中毒の原因となったギョーザを製造する中国・河北省の天洋食品と99年7月から取引を開始した。中国で製造する食品の売上高は57億円(06年)で、そのうち天洋が7・5億円を占めるという。岩井睦雄取締役は、「ギョーザなどの製造能力が高く、品質問題も起きたこともなかった」と説明した。

 JTに限らず、日本の食品メーカーは中国を製造拠点として積極的に活用している。中国メーカーの製造技術も高まっているうえ、人件費などのコストダウンが図れる利点も大きいからだ。

 しかし、ウナギから抗菌剤が検出されたり、「段ボール入り肉まん」のやらせ報道が話題になったこともあって、中国産食品に対するイメージが悪化。「農薬検査を徹底して安全性を確保しても、中国からの輸入品の信頼回復は難しい」(大手商社)との声も上がっていた。

 JTは現地工場や日本への輸入時の品質チェックで、細菌類などの製品検査は実施してきたが、化学物質は対象になっていなかった。他の企業を含め、中国の食品工場の管理や製品の検査体制の強化が求められている。【工藤昭久】

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