記事登録
2008年01月30日(水) 21時19分

<中国産ギョーザ>食中毒で製品一斉撤去、消費者に不安の声毎日新聞

 中国から輸入された食品の信頼がまた揺らいだ。千葉と兵庫県で有機リン系殺虫剤が混入した冷凍ギョーザを食べた計10人が下痢などの症状を訴えた中毒。問題の商品だけでなく、中国の同じ工場で作られた食製品が店舗から一斉撤去され、消費者からは不安の声が上がった。

 兵庫県高砂市の家族は自営業の夫(51)と妻(47)、次男(18)の3人暮らしで、今月5日、そろって夕食をとった。中華風の献立で、あんかけラーメンと焼き飯、そして冷凍ギョーザが食卓に並んだ。午後6時50分ごろ、次男が突然、食べたギョーザを吐き出した。夫と妻が慌てて介抱を始めたが、10分後には夫が不調を訴え、2人はすぐに救急車で近くの病院に運ばれた。妻も午後8時半ごろ、同様の症状を訴えて入院した。3人ともギョーザを数個ずつ食べていた。

 ギョーザは次男が約2週間前に買ったといい、次男はこの日より前にうち5個を1人で食べたが、その際は異常なかったという。

 千葉県市川市では22日午後8時ごろから、飲食店に勤める女性(47)が自宅で子供4人と食卓を囲んだ。食べ始めた直後、長男(10)が「ギョーザが少し苦い、おかしいな」と言い、他の子供も同じことを話したが、40個入りのギョーザを5人で残さずに食べた。

 約30分後、次女(5)が突然嘔吐(おうと)し下痢の症状が出始めた。次男(8)、長女(18)、長男(10)の順で同じ症状が起き、女性が隣家の姉(56)に助けを求め、姉が119番した。

 次女は搬送当時、意識不明の重体で、人工呼吸器を装着。8日後の30日になって、ようやく意識が戻ったが、現在も瞳孔が縮むなど有機リン酸系の物質を飲んだ際に起きる症状がみられたといい、5人はいまだに退院できていない。

 東京都新宿区の「ショッピングセンター丸正総本店」では、中毒を起こしたギョーザは扱っていない。しかし、30日午後7時までに、ギョーザやシューマイなど中国産の冷凍食品十数品目、計約100パックが撤去された。コーナーには「安全性が確認できるまで、一時販売を中止いたしました」との張り紙が掲げられた。

 買い物をしていた飲食店経営、村沢洋子さん(57)は「冷凍食品はよく買うので怖い」。子どもと来ていた主婦、高木まさ子さん(40)は「中国産はなるべく買わないようにしているが、これからはもっと厳しく産地をチェックする」と話した。寺田智之店長(45)は「輸入業者や卸業者がきちんと安全管理し、国も規制をしてほしい」と訴えた。

 西東京市の「コープとうきょうひばりが丘店」では、冷凍食品売り場に「お詫(わ)びとお知らせ」との張り紙を掲げた。問題の冷凍ギョーザの販売停止や店頭からの撤去を知らせるとともに家庭にある商品の回収を呼びかけた。買い物に来た女性は「冷凍食品は何が入っているか分からない。以前から不安に思っていたが、やっぱりか」と顔をしかめた。

 多くの観光客らが訪れる日本で最も有名な中華街である横浜市中区の横浜中華街。ギョーザは人気の食品だけに影響を懸念する声も聞かれた。昨年の段ボール肉まん騒動時に売り上げが10分の1になったという田中功司さん(37)は「また、中国産という感じ。イメージが悪い。誰が何のためにやったのか。ちゃんとやってる人たちがかわいそう」とため息交じりに語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080130-00000128-mai-soci