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2008年01月30日(水) 04時25分

消火器点検商法で逮捕へ クーリングオフ“盲点”悪用産経新聞

 無資格で消火器の点検を装い代金をだまし取ったとして、埼玉県警生活安全特捜隊と川越署は詐欺の疑いで、消火器点検整備業の男ら4人を30日にも逮捕する方針を固めた。4人は事業者に対し正規の業者を装い、通常の約3倍となる消火器1本あたり約1万円の点検料を請求。平成16年6月ごろから、首都圏と北関東の1都6県の約600事業所から約8000万円をだまし取っていたとみている。

 逮捕されるのは同県川口市東領家、田口寛之(38)と同所の無職、西尾昇(38)の両被告=いずれも覚醒(かくせい)剤取締法違反の罪で公判中=ら男女4人。

 調べでは、田口被告らは昨年3月と9月、消火器点検の資格がないのに、同県川島町と川口市の事業所で、消火器計15本を点検すると偽り、代金として現金計約16万円をだまし取った疑い。

 県警は昨年11月、無資格で消火器点検業務をしたとして消防法違反容疑で関係先を捜索。その後の捜査で「消火器の薬剤を詰め替える」とした田口被告らの説明に着目。点検は消火器をふくだけで、薬剤を詰め替えていない実態を突き止め、より刑の重い詐欺罪での立件に踏み切ることにした。

 田口被告らは「共和防災」「協和防災設備」などの社名を名乗り、事業所を訪問していた。国民生活センターなどによると、平成19年度の消火器点検商法への被害相談は昨年12月20日現在で1393件で、昨年同期比で約180件増加。今回問題となった業者の名前を対象とした苦情もここ数年で100件程度寄せられていた。

 消防法では原則として床面積1000平方メートル以上の事業所などには6カ月に1回以上、消火器の点検を義務付けている。県警は昨年11月、関係先を捜索した際、田口被告らの覚醒剤使用が発覚、逮捕していた。
 
 「一般家庭以外の取引なので特定商取引法の適用外」−。被害にあった事業所が交わした契約書には、そうした文言が小さく記されていた。特商法は事業所を保護対象としていないため、点検契約を結んだ事業所はクーリングオフを申し出ることができない。特商法の“盲点”を熟知した悪質な手口だった。

 国民生活センターによると、消火器点検をめぐる被害相談は平成16年の3402件をピークに、ここ数年は年間2000件前後で推移。悪質点検業者は消防設備点検の資格を持っているケースも多く、「点検した」と主張した場合、詐欺罪の適用は困難で、迷惑防止条例違反(押し売り)などの微罪でしか立件できないケースが多い。

 消火器点検商法の典型的な手口は、契約業者を装った電話から始まる。消防庁によると、事業所を訪れて受付やアルバイトなどを狙い、“預かり証”にみせかけて契約書にサインさせ、消火器を持ち出した後、薬剤を詰め替えたと偽って高額の代金を請求するのが一般的という。

 特商法は一般家庭の保護を目的にしており、事業所を対象としていない。業者は、こうした仕組みを熟知してか、契約した事業所が苦情を訴えても「クーリングオフの適用外だ」と居直るのだという。

 同センターは「正規の業者か確認するまで、サインや判子を押さないで」と呼びかけている。

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