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2008年01月30日(水) 21時00分

<中国産ギョーザ>千葉、兵庫で中毒症状10人 農薬を検出毎日新聞

 昨年12月から今年1月にかけ、自宅で中国産の冷凍ギョーザを食べた千葉県市川市、千葉市、兵庫県高砂市の3家族の計10人が、おう吐や下痢などの薬物中毒症状を訴え、9人が入院していたことが分かった。うち7人が一時重症、5歳の女児1人が重篤となった。ギョーザの一部やパッケージから農薬の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出されており、輸入元の「ジェイティフーズ」(東京都品川区)は、これを含め輸入販売している23品目の自主回収を始めた。中国の製造元で混入した疑いがあり、千葉、兵庫の両県警は薬物中毒事件として捜査を始めた。

 メタミドホスによる中毒は国内で初めて。厚生労働省は全国の検疫所に対し、問題の冷凍ギョーザと同一製品の輸入を認めないよう指示するとともに、消費者に食べないよう呼びかけている。

 問題のギョーザは中国・河北省の天洋食品の工場で製造され、商社「双日食料」(港区)経由で輸入された。ジ社の親会社のJT(品川区)によると、99年7月から天洋食品と取引し、約4万8000ケース輸入され、主に生協などで販売されているという。また、同じ工場で製造された冷凍食品を輸入販売している「加ト吉」(香川県観音寺市)も、業務用くしカツなど6品目前後の自主回収を始めた。

 両県警やJTによると、1月22日午後8時半ごろ、千葉県市川市原木の飲食店店員の女性(47)と、5〜18歳の家族計5人が、「コープ市川」で購入した「CO・OP手作り餃子」(40個入り、07年10月20日製造)を食べた後におう吐と下痢を訴え、病院に搬送された。二女(5)が一時意識不明の重体、他の4人も重症となった。5人の症状は回復したものの、現在も体調不良で入院している。

 千葉市では昨年12月28日、稲毛区の家族が「コープ花見川店」で購入した同商品(同日製造)を食べたところ、約30分後に母(45)と娘(3)が下痢や嘔吐などの症状を訴え、病院で手当を受けた。

 また、兵庫県高砂市では1月5日、男性(51)の家族3人が「中華deごちそうひとくち餃子」(20個入り、07年10月1日製造)を食べたところ、男性と妻(47)と息子(18)が嘔吐や下痢、縮瞳の症状が出たため、病院で手当を受けた。

 千葉県警の調査で、ギョーザの中から農薬の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出された。警察庁によると、メタミドホスは中国では農薬として広く流通しているが、日本では一部の研究施設などで保管し、一般には流通していない。こうした状況から、両県警は中国での製造過程で農薬が混入した疑いがあるとみている。

 日本生活協同組合連合会によると、天洋食品が製造したギョーザから数年前に微量の農薬が検出されたが、基準内の量だったため、販売されたという。

 30日に会見した岩井睦雄JT取締役は「検査体制が甘かった」と語り、謝罪した。また、出荷時に細菌検査はしているが、化学物質の検査はしていなかったという。

 【ことば】メタミドホス 交感神経に作用し、摂取すると下痢やおう吐、寒気などを伴う急性中毒症状が出る。体重1キロ当たり約0・01ミリグラムで中毒を発症。ラット実験では摂取量が体重1キロ当たり13ミリグラムを超えると、死亡するという。日本では使用が認められておらず、中国でも今年から使用が禁止された。02年には中国産の冷凍カリフラワーから、基準値を超える量が検出されている。

 ■自主回収となった商品■

 <市販用>中華deごちそう ひとくち餃子▽お弁当大人気! ミニロールキャベツ▽お弁当大人気! 豚肉のごぼう巻き▽お弁当大人気! 2種のソースのロールキャベツ▽お弁当大人気! 豚肉3色野菜巻き▽CO・OP本場中国肉餃子30個540g▽CO・OP手作り餃子40個560g▽CO・OPとろ〜り煮込んだロールキャベツ2個×2袋入

 <業務用(外食用)>特製スライス叉焼(バラ)▽厚切り特製ヒレかつ▽豚肉と三色野菜の包み巻き▽ローストオニオンポークカツ▽ミルフィーユポークカツ▽柔らかく煮込んだロールキャベツ(トマト味)40▽同60▽ポークピカタ100▽ポークピカタ(チーズ入り)40▽同60▽やわらかヒレかつ▽豚肉ときのこのクレピネット(網脂包み)▽ひれかつ▽豚肉ふんわり包み▽ミルフィーユカツ50

 問い合わせ先はジェイティフーズ相談室(0120・700・642)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080130-00000121-mai-soci