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2008年01月30日(水) 17時05分

サロンの帳簿に警視の「給与」 神世界事件朝日新聞

 神奈川県警の前警備課長吉田澄雄警視(52)=昨年12月20日付で警備部付に更迭=が関与していた有限会社「神世界(しんせかい)」の霊感商法事件で、神世界傘下でサロンを経営する「E2(イー・スクエア)」への捜索で県警が押収した帳簿に、吉田警視への報酬が「給与」として記載されていたことが、30日わかった。吉田警視が業務を手伝い始めた05年末以降、E社側から約400万円の報酬が支払われた。県警は複数の地方公務員法違反があったとして近く、吉田警視を懲戒免職とする方針。

 県警は、吉田警視がサロンを手伝い始めた05年12月以降について、地公法の「営利企業への従事制限」や「信用失墜行為の禁止」「職務専念義務」などに違反するとみている。併せて、05年末以降の上司の監督責任も問う。現在の田端智明・県警本部長ら歴代の本部長3人や、警備部長2人、外事課長2人ら8人前後が対象とみられ、県公安委員会、国家公安委への報告を経て、処分が正式決定される。

 県警の調べでは、吉田警視は03年4月ごろ、E社(03年11月設立)の杉本明枝社長が、東京都港区で「びびっととうきょう・青山サロン」を設立する際に、事務所の連帯保証人になった。

 サロンの会計担当者が退職した後の05年12月ごろから、吉田警視は会計業務の手伝いを始め、月に十数万円の報酬を得るようになった。当初、吉田警視の家族の銀行口座に報酬が振り込まれ、給与としてE社の帳簿に記載されていたが、その後、手渡しに切り替え記載をやめたという。

 県警は、吉田警視らが、営利企業への従事を禁じた地公法に抵触することを意識し、手渡しに変更したとみている。

 また、07年1月から事件が発覚する直前の11月まで、吉田警視は神世界の上部団体への送金業務のため、休暇をとらずに県警の職場を離れていた。

 吉田警視は伊勢佐木署に勤務していた91年ごろ、杉本社長と知り合った。02年ごろ、腰痛に悩んでいた吉田警視は杉本社長の勧めで、神世界への傾倒を深めていったという。 アサヒ・コムトップへ

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