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2008年01月30日(水) 23時59分

<中国産ギョーザ>回収までに1カ月 行政対応が「後手」毎日新聞

 中国産の冷凍ギョーザによる中毒事件は、昨年末に最初の被害が発生したにもかかわらず、行政や警察が発表し、商品回収に乗りだしたのは約1カ月遅れになった。早い時点でギョーザが原因ではないとした判断や後手にまわった対応が、結果的に被害を拡大した形だ。

 東京都は今月7日朝、兵庫県から中毒被害の発生と調査の依頼を受けたが、輸入元のジェイティフーズから、当該商品の輸入量や症状を伴う苦情件数などを情報収集するにとどめた。調査の結果、同様の被害はなかった。また、このケースは被害者が約2週間前に商品の一部を食べており、その際体調に異常がなかったことから、同県は「開封後に農薬が混入したのではないか」と都に伝えた。

 この判断について県は「当時、流通ルートが原因と判断できる材料はなく、県警の科学的な調査結果を待つしかなかった」と釈明する。都も8日午前の段階で「製造・流通ルートが原因ではない単発の事例」と判断し、一般に公開しなかったという。

 一方、昨年12月28日に発生した千葉市のケース。被害者が市保健所に通報したのは、退院後の1月4日。市保健所によると、病院が女性の血液検査を行わず、原因がはっきりしなかった。コープから「細菌検査の結果、食中毒と結びつくような問題はなかった」との回答を得たこともあり、21日までに調査を打ち切った。保健所は「結果的に不十分な調査だったと考えている」とコメントした。

 22日発生の千葉県市川市のケースで、同県は23日、県市川保健所から「(嘔吐(おうと)など)有機リン系農薬が原因とみられる食中毒が発生した」と連絡があり、初めて事態を把握した。病院で採取した嘔吐物を調べたが、検体が少なく有機リン系の成分は検出できず、県の調査は事実上、この段階でストップした。

 29日になって、発生直後に現場の嘔吐物を採取していた県警から「メタミドホス」が検出されたと連絡があり、原因が分かった。県は「家族が食べた食材を入手しようとしたが、県警が押収してしまったため検査できなかった」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080130-00000162-mai-soci