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2008年01月30日(水) 22時53分

毒ギョーザ、JTの食品強化策に暗雲 加ト吉との統合にも影響か産経新聞

 30日明らかになった中国製冷凍ギョーザによる食中毒事件は、積極的なM&A(企業の合併・買収)で食品事業の強化を進めてきた日本たばこ産業(JT)の戦略に暗い影を落としたといえる。JTは日清食品と共同で冷凍食品最大手の加ト吉を買収、4月に3社の冷凍食品事業を統合することで合意していたが、この計画に狂いが生じる可能性は高い。
 JTにとって、この統合は「悲願のカテゴリートップ」(木村宏社長)に躍り出るためのジャンプ台だった。
 国内の喫煙人口減少が続く中、新たな収益事業の確保はJTにとっては急務。食品事業は医薬品事業とともに、新しい柱として大きな期待をかけていた。
 そのために、JTは積極的なM&Aを繰り出し、加ト吉を買収。これでグループの食品事業は売上高が5000億円規模にまで拡大し、近い将来の売上高1兆円が視野に入っていたとされる。
 30日の謝罪会見に出席した岩井睦雄取締役は、今回の問題による損失を「最低でも7億〜8億円」と試算した。ただ、加ト吉も問題となった中国メーカー、天洋食品産の冷凍食品を販売していることが判明しており、損失額はさらに拡大する見通し。こうした損失もさることながら、消費者からの信頼を失う深刻さは計り知れず、経営責任問題にも発展しかねないとの見方もある。

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