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2008年01月30日(水) 16時02分

公金不正流用事件 前那賀町長に懲役8年読売新聞

地裁判決「身勝手で自己中心的」

 先物取引で生じた損失を穴埋めするため、町に約4億3000万円の損害を与えたなどとして背任と詐欺などの罪に問われた那賀町の前町長、日下正隆被告(62)に対する判決公判が29日、地裁であった。畑山靖裁判長は「身勝手で自己中心的な犯行」などとして懲役8年(求刑・懲役10年)を言い渡した。日下被告側は控訴しない意向で、問題が明るみに出た2007年3月から、那賀町を揺るがした巨額の公金不正流用事件は、一つの区切りを迎え、傍聴していた町民らは様々な反応を見せた。

 判決によると、日下被告は合併前の鷲敷町(現・那賀町)収入役だった02年9月ごろ、町の資金を借り入れる文書などを偽造、金融機関から約3億5000万円をだまし取った。その後も、鷲敷町土地開発公社名義で別の金融機関から借り入れと返済を繰り返し、さらに那賀町長を務めていた07年1月、町名義の定期預金を担保に、約3億8500万円の不正な借り入れをした。

 「被告人を懲役8年に処する」。畑山裁判長が主文を言い渡すと、背を丸め伏し目がちの日下被告は、静かに聞き入った。

 日下被告は白のウインドブレーカーにグレーのスラックス姿。判決直前、検察側、弁護側の証拠調べを経て再び最終意見陳述の機会を得た日下被告は「多大な損害と、ぬぐうことのできない傷を負わせ、心からおわび申し上げます」と謝罪した。

 日下被告のこの言葉に、傍聴した那賀町鮎川、農業殿谷弘範さん(62)は「長年にわたり公金を流用し続けてきた者が、何を今さらという感じがした。これからどう弁済するか見ていきたい」と話した。

 有志らでつくる「那賀町を良くする会」世話人の山崎篤史さん(31)は「4億円近い公金の穴埋めを誰がするのか。今のままでは被害を負うのは町民ではないか。今後も町関係者に責任がないか追及したい」と話した。

 坂口博文町長は「懲役8年が重いか軽いかは分からない。だがもっと重いのは日下前町長が町民を裏切った、そして信頼を失ったことだ。町としては全容解明を続け、再発防止策をまとめて、町政への信頼を取り戻したい」と話した。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news/20080129-OYT8T00669.htm