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2008年01月30日(水) 21時04分

<中国産ギョーザ>リスク低い冷凍食品の中毒に衝撃 厚労省毎日新聞

 中国産冷凍ギョーザによる中毒で、厚生労働省は、農薬残留のリスクが生鮮品よりも低い冷凍食品から殺虫剤が検出された事態に、強い衝撃を受けている。輸入時の検査で、加工された食品の大半は細菌や添加物などをチェックするにとどまり、農薬の有無を調べていない。検査の「抜け穴」から健康被害が出た形で、監視体制の強化を求める声が高まりそうだ。

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 厚労省は、輸入食品の約5%を抜き打ちで検査し、食品衛生法違反が見つかれば、検査命令などの措置で監視を強めている。食品安全部によると、問題のギョーザと同じ製造元の冷凍ギョーザは昨年1月以降で155回(約1230トン)の輸入があり、うち8回は検疫所でサンプル検査を受けたが、違反はなかったという。

 しかし、いずれも細菌や添加物の量が基準の範囲内にあるかどうかの検査で、そもそも残留基準がない農薬は対象外だ。また、サンプル検査とは別に、輸入業者は検疫所に輸入届出書を毎回出さねばならないが、記載内容は▽原材料▽添加物▽製造方法−−で、加工品の原材料に使っている農薬まで申請する必要はない。

 農林水産省農薬対策室によると、成分が検出されたメタミドホスは、他の農薬に比べ急性毒性が高いが、加熱調理することで分解され毒性も弱くなるという。問題のギョーザは、冷凍前にも加熱処理されていることになっており、厚労省の担当者は「原材料の一つに高濃度の農薬が付着していても、加工品で中毒症状が起きるとは想像しにくい。こん包や流通の過程で混入した可能性も考えられる」と指摘する。

 冷凍食品などの加工品に対する農薬のチェックを厳しくする場合、野菜ごとに異なる残留基準をどう設定するかが難しく、加工度が高いと検査自体が困難になるとの指摘もある。30日夜に会見した厚労省の道野英司・輸入食品安全対策室長は「検査体制の見直しは今後検討する」と述べるにとどまった。【清水健二、北川仁士】

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