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2008年01月29日(火) 09時25分

豆腐にがり、原価200倍で販売 獣医師「がんを治す」朝日新聞

 「がんを治す」とうたい、豆腐製造に使う「にがり」の主成分、塩化マグネシウムの粉末を医薬品として無許可で販売したとして、名古屋市緑区の獣医師(68)が家宅捜索を受けた薬事法違反容疑事件で、粉末の販売価格が仕入れ値の約200倍だったことがわかった。健康被害の相談も寄せられており、愛知県警は獣医師を同容疑で近く逮捕する方針を固めた。

 商品は塩化マグネシウムの粉末180グラムを瓶に詰めた「機能性食品MG—PRO」で、獣医師は1瓶1万500円で販売している。粉末は、関西の化学製品製造会社から中間業者を介して仕入れ、同区の「研究所」でそのまま瓶詰にしている。

 ところが、製造会社によると、粉末はそもそも「豆腐用凝固剤」で、20キロ入り袋で売られ、卸値は1キロあたりわずか約160円という。

 この凝固剤を名古屋市内の中間業者から1キロあたり約300円で購入していると、獣医師は朝日新聞の取材に認めた。製品1瓶(180グラム)の原価は54円になる計算で、獣医師はその194倍で販売していたことになる。

 獣医師は取材に対し、「いくらで売ろうと私の勝手。塩化マグネシウムは安いし、薬局で買えるが、私から買う人は、研究を応援し、協力してくれているからだ」と反論している。商品の生産を始めた89年以降、4万個以上を販売し、最近の売り上げは1カ月当たり約50万円に上るという。

 国立健康・栄養研究所のホームページでは、マグネシウムの過剰摂取について「下痢や高マグネシウム血症などを起こすことがあり、特に重篤な腎不全患者には注意が必要」と記している。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0128/NGY200801280021.html