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2008年01月29日(火) 03時07分

ソフト会社、新興市場上場時に1億円粉飾決算か読売新聞

 大阪証券取引所の新興企業向け市場ヘラクレスに上場するソフト開発会社「アスキーソリューションズ」(AS社、東京都渋谷区)が2006年4月の新規上場時に、1億円超の架空売り上げを計上するなどしていた疑いがあることがわかった。

 粉飾決算が事前に判明していれば上場は承認されず、証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反(有価証券報告書等の虚偽記載)の疑いで調査している。

 上場審査を巡っては、名古屋証券取引所が新興市場「セントレックス」の審査体制に不備があるとして、今月25日に金融庁の業務改善命令を受けたばかり。大証でも上場時の問題点が明るみに出たことで、新興市場での甘い審査のあり方がクローズアップされそうだ。

 関係者によると、AS社はカラオケリモコンの開発・量産業務を巡り、納品が間に合わなかったにもかかわらず、取引を仲介した開発会社に虚偽の検収書を出してもらい、05年9月期中間決算と06年3月期決算で約1億3600万円の売り上げを架空計上した。06年3月には、リモコンの開発が遅れた違約金として、大手カラオケメーカーの関連会社に約6000万円を支払ったが、ソフトの購入代金に上乗せする形で経理処理していたという。

 大証は、決算について「適正」とする監査法人からの意見を受けて、06年3月1日に上場を承認した。

 AS社株の株価は同年4月の新規上場時に公開価格の5・3倍の188万円をつけるなど注目を集めたが、その後は低迷。半期報告書が未提出だったため07年12月に監理銘柄に指定され、今年に入ってからは2万〜3万円台で推移している。

 監視委は、虚偽記載は投資家に大きな影響を与えたとみており、同社に対して課徴金納付命令を出すよう近く金融庁に勧告する。

 AS社は「架空売り上げの計上は、担当者が独断でやったことで、会社や監査法人は最近まで把握していなかった」と説明。大証は「上場審査は適切だった」としている。

 AS社はIT企業「アスキー」の元社員らが、同社からネットメディア事業部関連の資産や契約などの営業譲渡を受け、02年6月に営業を開始した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080128-OYT1T00672.htm?from=main2