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2008年01月29日(火) 11時25分

<元消防団員再逮捕>放火容疑 他に二十数件認める 東京毎日新聞

 東京都大田区下丸子4のアパートで95年12月、父子2人が焼死した火事で警視庁捜査1課は29日、現住建造物等放火容疑などで逮捕・起訴されていた大田区鵜の木2、元田園調布消防団第3分団部長で会社員、国分徹容疑者(48)を現住建造物等放火と住居侵入の疑いで再逮捕した。94年以降、二十数件の放火を繰り返したと認め「誰かに見つからないかと心配しながら火をつけるスリルがたまらなかった」と供述しているという。【川上晃弘、佐々木洋】

 調べでは、国分容疑者は95年12月19日午後11時半ごろ、大田区下丸子4のアパート「斎藤荘」(2階建て)の敷地に侵入、アパートに隣接する物置にライターで放火した疑い。アパート約193平方メートルが全焼し、所有者の斎藤安一さん(当時69歳)と二男和男さん(当時34歳)が焼死した。出火後、安一さんはアパートから逃げたが、脳性マヒの障害で寝たきりだった和男さんを救助するため室内に戻って逃げ遅れた。時効(15年)まで残り約3年だった。

 国分容疑者は91年2月に入団しており、事件当時も消防団員だった。07年7月、大田区下丸子の住宅近くの枯れ草に火をつけたとして現住建造物等放火未遂容疑で逮捕され、その後、オートバイや住宅などへの5件の放火容疑で再逮捕されていた。放火直前には近くの消防署に「火をつける」と予告電話をしていたという。

 捜査1課が95年の火事についても関与を追及したところ、容疑を認めた。「(95年の放火の)10年以上前に、興味本位で河川敷のごみに火をつけたら気持ちが晴れ、現実逃避出来る気がした」と供述。その気持ちが忘れられず放火を続け、火をつける物も道路のごみなどから木造の家にエスカレートしていったという。

 ◇「自分で自分が抑えられなかった」容疑者

 「優しそうな男だったのに」。国分容疑者の自宅近くに住む無職の男性(73)は驚いた様子で話した。国分容疑者には3人の子供がおり、学校のPTA会長を務めたこともあった。自宅の前で子供とキャッチボールをする姿もよく見かけたという。

 91年2月に消防団に入団。温厚な性格で、07年8月に懲戒免職になるまで、熱心に活動していた。訓練にも率先して参加し、周囲の信頼も厚かった。第3分団長で建築業の上原利嗣さん(67)は「非常に優秀な団員で、ポンプ操作にも優れていた。95年当時も仕事や家庭でのトラブルは聞いていない。20年来の付き合いだが、信じられない」と肩を落とした。

 95年の火事は大田区の住宅密集地で起きた。現場の近くに住む主婦(54)は「不審者が狭い路地を抜けて逃げたと聞いたので、放火だとすれば地元の人間ではないかとうわさをしていた。まさか、消防団員とは」と話した。

 「酒を飲んだ後は火をつけることに歯止めが効かなくなった。放火しやすそうな古い家が目につくと、自分で自分を抑えることが出来なかった」。国分容疑者は、調べに対して、そう供述しているという。【古関俊樹、三木幸治】

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