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2008年01月28日(月) 13時23分

WSJ-メルクとシェリング、バイトリンめぐりNY州司法長官から召喚状ダウ・ジョーンズ

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ司法長官が、米製薬大手のメルク(NYSE:MRK)とシェリング・プラウ(NYSE:SGP)による高脂血症治療薬「バイトリン」の臨床試験の扱いについて調査に乗り出した。

クオモ長官の事務所は26日、「Enhance」と呼ばれる試験の否定的な結果をメルクとシェリングが「意図的に隠した」かどうかをめぐる調査の一環として、両社に召喚状を送ったと明らかにした。

両社は合弁事業としてバイトリンとその姉妹製品「ゼチア」を共同で販売している。

両社とも召喚状を受け取ったとし、調査には協力するとしている。メルクの広報担当者、クリス・ガーランド氏は、同社はバイトリンとゼチアの安全性と有効性を支持するとし、問題の臨床試験に関しては「正直に誠意をもって行動した」と述べた。シェリングの広報担当者、リー・デイビス氏は「われわれは、当社の医薬品と臨床試験に対して責任を持っている」と述べた。

司法長官事務所によると、調査の焦点のひとつは、患者や医師に対するバイトリンの「積極的なマーケティング」。別の焦点は、否定的な試験結果が公表される前の両社株の売却をめぐるもので、一部の内部者による株式売却が適切だったかどうか、両社の投資家に対する声明は正確だったかどうかを調査している。

召喚状ではとりわけ、バイトリンのマーケティングや広告のほか、医薬情報担当者(MR)、投資家、アナリストとの通信記録にかかわる文書、内部者による株式の売却あるいはオプションの行使に関わる情報を提出するよう求めている。

クオモ長官の事務所によると、ニューヨーク州の低所得者向け医療保険(メディケイド)プログラムはここ2年間でバイトリンに約2100万ドルを支出したという。

Enhance試験は、バイトリンが心血管系疾患の進行を遅らせるのに、安価なジェネリック版(後発の類似医薬品)に勝るかどうかについて疑問を投げかけている。バイトリンはいわゆる悪玉コレステロールと呼ばれるLDL値を減少させるのにより効果的とされている。LDLの高値は心臓発作の主要なリスク要因。

Enhance試験は2006年4月に完了したが、両社は今年1月14日まで失望される結果を発表しなかった。この期間に、バイトリンとゼチアを合わせた年間売上高は50億ドル以上に膨らんだ。

両社は2007年11月、データ解析を「促進する」ため、Enhance試験の有効性の主要評価項目を変更すると発表したことから、抗議の嵐が起こった。こうした行為は通常、科学的な治験実施計画書に対する違反と考えられる。これが心臓専門医からの苦情や議会による調査につながった。両社はそれ以来、当初の主要評価項目に戻ったと述べている。

メルク株の25日終値は前日比1.77ドル(3.57%)安の47.79ドル。シェリングは同1.15ドル(5.70%)安の19.02ドル。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080128-00000021-dwj-biz