「大阪府は破産会社と同じ。破産会社の従業員という意識を持ってもらう」。当選後のインタビューで、橋下さんは厳しい表情で言い切った。
橋下さんを迎える大阪府の幹部の一人は「最大の逆風知事。首を洗って待っている」と浮かない顔だ。橋下さんは太田房江知事が力を注いだ産業振興に否定的で、堺市に進出するシャープ関連企業への180億円補助を「失態」と批判したこともある。
選挙期間中、「私が大阪府庁を解体します」と訴え続けてきた橋下さんに、職員たちは戦々恐々としている。
「小学校の運動場の芝生化」「中学校への給食導入」——。府は既に橋下さんが掲げる重点事業と現行制度の調整や実現可能性の検討に着手しているが、市町村主体の事業が多い。子育て支援の担当部は「市町村がついてこないとできない」と及び腰だ。
歳出削減策の筆頭に挙げられている出資法人の見直しも「いきなりゼロにはできない」と府幹部は頭を抱える。各法人には600人以上が出向し、幹部OBの再就職先でもあるため「人事が回らなくなる」。担当者は「相当汗をかかないといけない」と身構える。
2月下旬の議会日程を考えると、就任から08年度の予算案決定まで、猶予は1週間。財政担当の幹部は「橋下さんの公約を全く予算に入れないわけにはいかない」。
橋下さんは、昨年末に発覚した3500億円の「赤字隠し」について、今後は認めないとの立場だ。府幹部は「そう言われたらどうしたらいいか分からない。警察官や教員を含めた給与カットは人材確保に決定的な支障が出る」とうなだれる。
副知事や特別秘書など人事にも関心が集まる。橋下さんは庁内に若手のプロジェクトチームをつくることを検討し、府も人選を進めている。
ただ、橋下さんに期待する職員も少なくない。
「外部の圧力から、私がサンドバッグになります。一緒に汗を」。告示の10日、府庁前に集まった職員約200人に呼びかけた橋下さん。幹部は「この言葉に打たれた職員が多かった。職員をどついてでも改革してほしい」と語った。 アサヒ・コムトップへ
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