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2008年01月27日(日) 03時09分

「白ロム」携帯詐取横行 新型機不正入手、情報抜き転売 朝日新聞

 携帯電話の最新機種がネットオークションで格安で売られている。電話番号などの情報が入っていない「白ロム」と呼ばれる状態の携帯端末だ。機種によっては、自分の電話番号の情報などを記録した手持ちのICチップを差し込むだけで使用できるため人気が高い。最新機種の白ロムが出回る裏には、支払いを踏み倒したり、若者らをだまして契約させたりする詐欺行為が横行している実態が浮かんでいる。

小川雅史被告の自宅から押収されたICチップ

求人やアルバイトのインターネット掲示板では、白ロム詐欺に誘い込むような書き込みが数多く見かけられる

 「新品白ロム 新製品保証書付き即発送」

 大手オークションサイトに18日、発売から6日しかたっていない最新機種1台が、開始価格1円で売り出された。販売代理店によっては機種変更すると、8万円超の値がつく商品。10人が入札し、6日目に約4万円で落札された。昨年11月、このオークションには同じ携帯電話会社の最新機種が発売日から10日間で計864台出品された。

 広島県警は昨年11月から今年にかけて「白ロム」の不正入手にかかわっていたとして岐阜県の元紡績工、小川雅史被告(24)=詐欺罪で起訴=ら6人を詐欺容疑で逮捕した。小川被告の自宅から、携帯端末から抜き取ったICチップ約160枚を押収。端末を転売した後に残ったものとみられる。

 まず、最新機種でも頭金0円で契約できる制度のある携帯電話会社の販売代理店で契約する。支払いを踏み倒すと「ブラックリスト」に載って新規契約ができなくなるが、それまでの間次々と契約し、ICチップを抜いた白ロムを転売すれば1台数万円のもうけになる——。そんな手口だった。

 「白ロム詐欺」は、金銭に困った若者らも巻き込んでいる。東京で一人暮らしの女子大学生(19)は昨年5月、ネットのアルバイト掲示板で書き込みを見つけた。

 《日給2万5000円〜5万円 白ロムバイトをしてみませんか》

 メールを送り、数日後に会った男から「何台契約しても、請求される金額が50万円以下なら携帯会社は法的手段をとらない」と説明を受けた。2日間で5台を契約。男に端末を渡し、バイト代2万5000円を受け取った。3カ月後、支払いがない限りどの携帯電話会社とも契約できなくなる「強制解約」の通知が届いた。いま、携帯代金など約50万円の返済に追われている。

 携帯電話会社も対策に乗り出している。ソフトバンクモバイルは昨年2月にリスク管理室をつくり、不正契約の被害を確認したら積極的に警察に被害届を出すよう代理店への指導を強化した。同室は「捜査に協力し、全国の代理店で詐欺台数などの実態調査をしている」と話している。

 〈白ロム〉 電話番号などの情報が記録されたICチップ(SIMカード)を抜き取った携帯電話の端末。ソフトバンクモバイルとNTTドコモの場合、自社のものであれば別機種の携帯電話のICチップを差し込んでもその番号で使用することができる。他社のチップでは使用できないようにロックされている。契約時に頭金などの初期費用が安いと、詐取の対象になりやすい。日本の携帯端末は中国などで人気があり、白ロムが高値で海外へも転売されている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0126/TKY200801260301.html