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2008年01月27日(日) 03時09分

にがり成分「がん治す」 獣医師販売、薬事法違反の疑い朝日新聞

 豆腐製造に使う「にがり」の主成分、塩化マグネシウムの粉末を「がんでも治す」とうたい、医薬品として無許可で販売した疑いがあるとして、愛知県警が名古屋市緑区内の獣医師(68)の自宅などを薬事法違反(無許可の医薬品販売)容疑で家宅捜索していたことがわかった。飲用して脱水症状を起こし、衰弱死した高齢者もいるという。獣医師は過去にも同じ商品を医薬品として無許可で販売するなどして2度、有罪判決を受けた。県警は悪質性が高いと判断、週明けにも本格的な捜査に乗り出す。

患者に販売している「機能性食品MG—PRO」=24日、名古屋市緑区で

 獣医師は朝日新聞の取材に対し「塩化マグネシウムを主成分とする機能性食品で、副作用はない」とし、医師免許を持たずに治療していたことについては、「治療は研究の一環だ」と話し、違法性を否定した。

 県警生活経済課や緑署などの調べでは、「がんなど、すべての病気を治す」などとうたって、塩化マグネシウムの粉末を180グラム瓶詰めにした「機能性食品MG—PRO」と称する商品を無許可で販売した疑い。獣医師は医師免許を持っていないが、名古屋市内で、口コミで集まったがん患者などの高齢者らに問診や触診を実施していたという。

 塩化マグネシウムは、大量に摂取すれば、下痢などの症状を起こす。県警は少なくとも数件の健康被害を把握。一部の被害者から相談を受け、昨年12月中旬に家宅捜索を実施した。今後、商品の投与と健康被害との因果関係も調べる方針だ。

 獣医師は、業者から塩化マグネシウムを仕入れ、「研究所」で瓶に詰め、「機能性食品」と印刷したラベルを張り、180グラム入りを1瓶1万500円で販売していた。獣医師の免許を持っているが、現在は引退している。獣医師は89年と97年にも同じ商品で薬事法違反の罪に問われ、有罪判決を受けた。

 獣医師は朝日新聞の取材に、00年以降、患者は延べ300人に上り、現在も約10人の患者を「診察」していると認めた。患者は20代から70代までにわたっているという。

 獣医師によると、89年ごろ、塩化マグネシウムを瓶詰めした「機能性食品」の生産を始め、92年ごろから販売を開始。00年ごろ、名古屋市緑区に「研究所」と呼ぶ治療施設を開設した。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0126/NGY200801260012.html