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2008年01月26日(土) 03時07分

値上げ、止まらない 電力・ガス大幅 牛乳30年ぶり朝日新聞

 電気や都市ガスの料金が4月から大幅に上がる見通しが25日、明らかになった。牛乳の30年ぶりの値上げも同日、発表された。パンやめん、菓子類に使われる小麦も再値上げされる。07年12月の全国消費者物価指数が高い上昇率を記録したのに続く、身近な商品やサービスの相次ぐ値上げは、賃金が伸び悩む消費者の心理を冷え込ませ、景気を失速させる可能性がある。

主な商品の値上げ一覧

 東京電力の勝俣恒久社長は25日の記者会見で、4〜6月の電気料金が標準家庭で月間150円前後上がる見通しを明らかにした。上昇率は約2.3%で、値上げ後は月額6655円程度になる。東京ガスも同160円程度値上げし、月額5470円程度になる見込み。30日に発表の予定だ。

 電気・都市ガス料金には、原燃料価格の変動を3カ月ごとに自動的に反映させる制度がある。今回の値上げはこの制度に基づくもので、96年に同制度を導入して以来、最大の値上げ幅だ。

 値上げは食料品にも及ぶ。乳業大手の日本ミルクコミュニティは25日、主力の「メグミルク牛乳」を、4月から3.8〜7.1%値上げすると発表した。原油高などが響き、飼料や包装材の価格が高騰しているため、30年ぶりの値上げに踏み切る。同社はヨーグルト飲料やデザートなども含め約170品目で平均5.1%値上げする。

 農林水産省は、製粉会社に売り渡す小麦の4月からの値上げ幅を約30%とする方針を、25日に固めた。昨年10月の10%に続く再値上げで、2月に発表する。すでに値上げが進んでいるパンやめん、菓子類が、春以降にはさらに大幅に値上がりする可能性が高い。

 このほか、国内線の航空運賃や香辛料の価格なども上昇する。

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■「品目さらに拡大」予測も

 政府や多くのエコノミストは、物価上昇が当面、続くと予測する。

 大田経済財政相は25日の衆院予算委員会で消費者物価について問われ、「食料品やその他の値上がりが、やや続く可能性があるとみている」と答弁した。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎シニアエコノミストも「原材料価格の上昇を耐えてきた企業が我慢の限界にきている。1月の物価上昇率は1%台に達する可能性もある」と予測する。

 また、大和総研の神田慶司エコノミストは「2〜3月にかけて、値上げは連鎖していくだろう」と、値上がりする品目の範囲はさらに広がるという見方だ。

 ただ、原油価格の高騰が一段落しつつあることで、春以降の物価については、「消費が盛り上がりづらい状況にもあり、上昇のテンポは緩やかなものにとどまるだろう」(新光総合研究所)との見方も出ている。

 また、「ガソリン税の暫定税率が廃止されれば、物価指数の上昇率は0.4〜0.5ポイント押し下げられ、伸びがゼロとなる可能性もある」(大和総研)という予測もある。 アサヒ・コムトップへ

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