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2008年01月26日(土) 19時33分

年賀はがき売れ残り4億枚 民営化元年「偽装」も発覚産経新聞

 お年玉賞品の抽せんを27日に控えた平成20年用の年賀はがき。今年は「民営化元年の最初の大事業」と日本郵政グループをあげて取り組んだだけあって、販売枚数は下げ止まり、「遅配」などの苦情も減っているという。しかし、下げ止まったとはいえ約4億枚が売れ残り、配達忘れなどのミスもゼロにはできなかった。加えて今年は、再生紙の年賀はがきの古紙配合率で「偽装」も発覚するという予期せぬトラブルにも見舞われた。

 ■好調?不調?

 「目標には届かなかったが、低落傾向に歯止めをかけることはできた」。持ち株会社「日本郵政」の西川善文社長は、今年の年賀はがきの販売についてこう総括した。
 年賀はがきの販売はパソコンや携帯電話での「年賀メール」の普及などで年々減少。16年用は40億枚を超えていたが、ここ3年は毎年1億枚以上減らしていた。今年の販売は、1月11日現在で約36億870万枚。前年同期比99・7%(約36億2100万枚)で、確かに大幅な減少傾向からは踏みとどまったといえる。
 しかし、目標としていた40億枚に届かなかったのも事実。昨年12月21日には約1億455万枚を追加発行してまで、2年ぶりに発行枚数を40億枚台に戻したが、結果的に約4億枚が売れ残った。
 余った年賀はがきは段ボール原紙用の古紙などでリサイクルされるというが、無駄になったことに変わりはなく、西川社長は「販売計画枚数を決めるときには、実際に使われる枚数を考慮しないといけない」と見通しの甘さを反省した。

 ■苦情数は減少

 一方で、毎年必ずどこかの郵便局で問題となる「不着・遅配」の苦情は減少したという。
 郵便事業会社によると昨年、相談センターに寄せられた苦情は約2000件。それが今年は今月10日現在で469件にまで減った。同社渉外広報部は「アルバイトを5600人増やし、はがきを読み取る区分機も104台増設した。昨年は多くの問題があったので万全を期すよう力を入れた」と分析する。
 しかし、ミスを完全になくせたわけではない。
 茨城県では年賀状約3400通を車に積んだまま1月7日まで配送し忘れていたことが発覚。北海道でも同様に、倉庫に保管したままの年賀状約2800通が配送されなかった。
 また大阪では、同社枚方支店が、年賀状27枚を誤配するミスがあったが、「関係者に謝罪してご理解をいただいたので公表していません」(郵便事業会社近畿支社)という。

 ■「エコ偽装」

 さらに今年は、食品業界で吹き荒れた「偽装」問題にも見舞われた。
 郵便事業会社が製紙会社に発注していた再生紙を使っていた年賀はがきで、古紙配合率が要求していた基準(40%)を満たしていないことが発覚。しかも、年賀はがきでは、再生紙を使用するようになった8年用から「偽装」が行われており、実際の古紙配合率も0〜20%というありさまだった。
 年賀はがきでは、インクジェット写真用年賀はがき以外のすべてで再生紙を利用することになっている。今年発行された年賀はがきでの被害は、全体の97・5%にあたる約39億2100万枚にものぼる。
 こうした「エコ偽装」に、西川社長は「環境対策に取り組んでいるものとして、大変申し訳ない」と陳謝。日本郵政グループでは、当面は「再生紙」や「再生紙はがき」という表示を削除して販売し、今後は調査委員会を設置して、適切な古紙配合率について検討することにしている。

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