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2008年01月26日(土) 15時01分

<原田ウイルス>作成ツールをHP公開 逮捕の大学院生毎日新聞

 コンピューターウイルス「原田ウイルス」を巡る著作権法違反事件で、ウイルスをばらまくためネット上に設けられたウイルス作成ツールは、京都府警に著作権法違反容疑で逮捕されたウイルス作成者で大学院生の中辻正人容疑者(24)が「黒の原田団」と名乗って作成したホームページ(HP)からワンクリックで入手できるようになっていたことが分かった。ツールが公開されていたポータルサイト側が、中辻容疑者の逮捕翌日の25日にページをチェックし、アクセスできないようにした。

 HPには「ファイル交換ソフトの違法利用を排除するために作られた」と書かれており、ポータルサイトのホームページ作成サービスを利用して公開されていた。

 ウイルスのファイル名には、最後尾にプログラムが収められたファイルを示す特有の英文字があるが、ツールを使うと、画面上で選択肢から選ぶだけの簡単な操作で、通常の写真や動画などを示す英文字に偽装することが可能。ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」の利用者に通常の動画などと誤解させ、感染させやすくなっていた。

 また、自分の好きな画像を取り込むことも可能。ウイルスに詳しい関係者によると、数回マウスをクリックするだけで、ウイルスを作成できるという。

 ポータルサイトを運営する大手IT(情報技術)企業は「チェックするまでツールを作成しているページとは判断できなかった」と説明している。

 ネット上の不正を監視する民間団体「JPCERTコーディネーションセンター」の早貸(はやかし)淳子・常務理事は「HPがウイルス作成を意図していたなら問題だが、研究者への情報提供のためにプログラムを公開する人もいて、境目が難しい。また管理者には閉鎖を強制できないうえ、ウイルス作成罪が成立していないままでは『こうだからダメ』と明確に指導することもできない」と閉鎖までのハードルの高さを指摘する。【田倉直彦、熊谷豪、細谷拓海】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080126-00000059-mai-soci