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2008年01月25日(金) 00時00分

「調べる地図」から「使える地図」へ読売新聞

 ウェブ上の地図は場所を調べるだけでなく、さまざまな用途に使用できるツールの一つとして進化してきた。地図制作会社が提供する「使える地図」とは何か。「ALPSLAB(アルプスラボ)」の二宮一浩さんに話を聞いた。

CGMと位置情報を融合

二宮 一浩  にのみや・かずひろ
アルプス社ウェブサービスグループ ディレクター
 1968年兵庫県生まれ。99年アルプス社に入社し、営業(SE)、マーケティング部などに在籍した後、米マップインフォ社に駐在。帰国後、2005年にヤフージャパンに出向し、「ヤフー地図情報」の企画・ディレクションを担当する。07年4月から現職。ALPSLABの企画・ディレクターを務める。
——アルプスラボとは?

二宮 地図制作会社「アルプス社」(名古屋市)の企画開発部門で、2006年3月から地図や位置情報を使った実験的なアプリケーションを次々に公開しています。位置情報とは、緯度・経度や住所、地名など、地図データ上にある位置の特定が可能な情報を指します。

 ウェブの地図はもっぱら場所や住所を調べるツールでしたが、我々は位置情報にもっと大きな可能性があるのではないかと考えました。位置情報を利用した、誰もが使いたくなるようなサービスは、まだ登場していません。私としても明確な答えを持っていませんが、さまざまなコンテンツに展開・応用できる可能性があるはずです。

——設立からわずか2年弱でいろいろな開発をされてますね

二宮 これまでに、実際に使える「サービス」と、研究開発の成果として公開する「ショーケース」を合わせて24種類作りました。地図データや住所データを自社で持っており、権利処理をせずに自由に使えます。そのため、他社と比べると開発スピードはかなり速い。

 ラボは計7人で運営していますが、普段はそれぞれ別の仕事を抱えています。それでも、「面白いものを作ろう」という意識が強く、前向きな意見を出し合う土壌があるので、楽しみながら開発を進めています。

——例えばどのようなサービスが利用できるのですか

二宮 アルプスラボのサービスの特徴は、ブログなどのCGM(消費者発信型メディア)と地図を融合させているところです。旅行先やレストランの場所など、記事内容に合わせた地図をブログに貼れる「ALPSLAB clip!(クリップ)」や、地図上にある撮影場所や被写体の位置に写真を配置できる「ALPSLAB photo(フォト)」などがあります。

 面白いのは、ルート情報を共有できる「ALPSLAB route(ルート)」。今までのルート検索は、起点から終点までの最短の道のりしか表示できませんでした。しかし実際は、平坦な道を選びたかったり、デート向きの道を知りたい場合もあります。利用者が思い思いのルートを作ってコメント付きで公開できるようにしたところ、自転車やジョギングの愛好家を中心に数多く利用されるようになりました。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20080125nt14.htm