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2008年01月25日(金) 08時02分

ウイルス作成者逮捕 処罰、法の壁高く産経新聞

 ネット社会に大きな被害を与えてきたコンピューターウイルス。海外では作成者の摘発が相次ぐが、日本では作成行為を処罰する法整備が遅れており、京都府警は今回、著作権法違反の適用という苦肉の策で摘発した。

 日本の刑法では電子計算機損壊等業務妨害罪に未遂罪や予備罪がなく、実際にコンピューターやデータを破壊すれば成立するが、ウイルスを作成しただけでは処罰できない。政府は、ウイルス作成を処罰する不正指令電磁的記録作出罪などの新設を検討しているが、適用範囲の指定が難しいことなどから、実現に至っていない。

 今回のウイルスはパソコンにあるファイルを壊す「破壊型」。捜査当局は当初、この点に注目し、器物損壊容疑での立件を検討。しかし、パソコンが物理的に使えなくなる状態にまでならなければ、器物損壊には当たらないとされる法律の壁に阻まれた。

 海外では摘発事例が相次いでいる。新種のコンピューターウイルスを作成し感染を広めたとして、米連邦捜査局(FBI)が18歳の高校生を逮捕。ドイツでは裁判所が19歳の少年に保護観察処分を命じている。

 これまでにインターネットを介して出回ったウイルスは、亜種も含め世界中で20万以上に上るとされ、中には重大な結果をもたらすものもあり、被害は深刻化している。


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