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2008年01月24日(木) 13時45分

<コンピューターウイルス>作成者逮捕…適用罪検討に半年毎日新聞

 インターネット利用者に多大な被害を及ぼしてきたコンピューターウイルスの作成者が24日、京都府警に著作権法違反容疑で逮捕された。法の網にかかりそうで、かからなかった作成者を追いつめたのは、ファイル交換ソフト「ウィニー」の開発者も立件した実績のある府警の執念の捜査だった。

 今回逮捕された男が捜査線上に浮上したのは昨年秋。府警は04年、ウィニー開発者の事件後も関連の捜査を続け、ハイテク犯罪のノウハウを蓄積。今回は、ウィニー上にウイルスを流出させた男を特定することに成功した。

 府警は当初、ウイルス感染でパソコンが作動できなくなる点に着目し、器物損壊罪の適用を検討した。だが「インストールし直せば使える」として断念するなど、難航。刑法ではなく特別法を俎上(そじょう)に載せ、ようやく立件に向けて動き出した。捜査員の間には「ウイルス罪があればこんな苦労をしなくて済む」との声が強い。

 園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法・情報法)は「著作権法違反容疑での逮捕は苦肉の策だろう。本来は電子計算機損壊等業務妨害罪だが未遂規定がなく、ウイルスの作成や配布だけでは処罰されない」と指摘する。

 また、佐々木良一・東京電機大教授(情報セキュリティー)は「作成者に悪意があり、ウイルスによって被害が出ていると立証されれば処罰されるべきだ。これまでは、ウィニー利用者のみが悪いという理論が横行していたが、ウイルス作成者の方が罪は重いはずだ」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080124-00000059-mai-soci