記事登録
2008年01月23日(水) 00時00分

松本衆院議員側に献金読売新聞

5年で465万円、昨年分110万は返還

 自民党副幹事長の松本純衆院議員(神奈川1区)が代表を務める「自民党神奈川県第1選挙区支部」(横浜市中区)と「松本純後援会」が、横浜市から療養費5400万円を不正受給していた針きゅう院を経営する土屋勉院長(70)から2003年〜07年、計465万5000円の寄付を受けていたことが22日、わかった。松本議員の秘書は読売新聞の取材に、「07年分の110万円を院長に返還した。06年以前の分は、不正が判明し次第、返還したい」と話した。

 政治資金収支報告書によると、不正受給があった「横浜みなみ針灸(きゅう)マッサージ治療院」(横浜市南区)と「土屋針灸マッサージ」(同市中区)を経営する土屋院長から、選挙区支部へ03年に155万円、04年に90万円、05年に100万5000円、06年に10万円の寄付があった。

 秘書によると、07年は選挙区支部と後援会を合わせて110万円の寄付を受けていた。

 土屋院長は02年3月と05年6月に二つの針きゅう院を開設。市から支払われた療養費は02年度は2200万円、03年度は1億2000万円で、昨年9月までの受給額は約16億円に上っている。

 調べによると、土屋院長は昨年4〜9月、利用者約400人の施術回数を水増しし、国民健康保険や老人保健の療養費の請求を繰り返し、5400万円を不正受給していた。市保険年金課は、以前から多くの利用者の施術回数を水増ししていたとみている。市は不正受給は数億円に上るとみており、土屋院長を刑事告発する方針。

 松本議員の秘書は「土屋院長が不正をしていた認識は全くなかった。報道を見て驚き、道義的な責任から返還することにした」としている。

◇営業を停止従業員解雇◇ 

 針きゅう院が従業員に解雇を通知し営業を停止したことが22日、わかった。土屋院長とは連絡がつかなくなっている。

 市保険年金課によると、針きゅう院と22日午前、電話連絡がつかなくなった。職員が出向き、営業停止を確認した。

 従業員によると、21日朝に針きゅう院側から「きょうから営業を停止する。出勤は必要ない。置いてある個人の荷物は取りに来るように」と電話があった。

 針きゅう院側は、2月20日までに完全に閉鎖することや、再就職に必要な離職票を発行することなどを説明した。不正請求の問題や従業員の再就職先についての説明は一切、なかったという。

 視覚障害のある従業員の男性マッサージ師は「ここのマッサージ師の大半が視覚障害者で、みんな再就職できるか不安がっている。これまで一生懸命に汗を流して仕事をしていたのに、本当に腹立たしい」と話している。

◇     ◇     ◇

 横浜市が不正請求を調査するために針きゅう院の利用者に郵送したアンケート用紙を、土屋院長が回収するよう従業員に指示していたことが22日、わかった。土屋院長は、アンケートを渡さない利用者の施術を打ち切るよう従業員に指示したり、協力しない従業員は解雇したりしていた。

 関係者によると、アンケート用紙は昨年11月に針きゅう院で施術を受ける人たちに郵送された。土屋院長は11月14日の朝礼で「市から利用者の自宅にアンケートが一斉に送られた。利用者宅を訪問したとき、用紙を回収するように」とマッサージ師全員に指示。提出を拒んだ利用者は「治療を打ち切るように」と話した。

 アンケートの回収に協力した利用者には、洋菓子とカレンダーを渡したといい、約6割を針きゅう院側で回収したという。

 一方、市によると、利用者約850人に郵送したが、回答があったのは2割に満たない約150人だった。

 用紙の提出を拒み、施術が打ち切られた70歳代の女性は「こんな詐欺まがいなことをしていいのかと事務員に話したら、『治療を打ち切ります。私たちとはもう関係ありませんから』と言われました。本当に許せません」と憤った。

 また、従業員の男性は「アンケートを回収して以降、利用者が100人以上減り、従業員も数人解雇された」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080123-OYT8T00102.htm