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2008年01月19日(土) 02時32分

<成年後見人>制度悪用し障害者の1億2千万円奪う 松山毎日新聞

 重い障害を患う松山市の無職男性(39)が04年、成年後見制度を悪用され、暴力団関係の男に少なくとも計1億2000万円の財産を奪われていたことが、元捜査関係者の話で分かった。後見人の実母(78)は親族女性を通じ、要求されたままに現金を渡していたという。関係者が詐欺容疑で刑事告訴するよう働きかけたが、昨年11月に親族の強い希望で見送られている。

 関係者によると、男性は95年に愛媛県西条市内(旧丹原町)で交通事故に巻き込まれて頭部を強打。日常生活ができないほど思考能力が低下し、松山市内の福祉施設に入所した。保険金などで得た約2億円の財産が手元に残った。

 実母が00年4月から後見人となり、通帳や印鑑などの財産管理を任された。04年、暴力団関係の男が「共同でホストクラブを経営しよう。もうけが出たら分け前を渡す」と男性の親族女性にもちかけ、男性の財産に狙いをつけたという。

 親族女性は実母に繰り返し現金を要求し、口座から約1億2000万円を得て暴力団関係者に渡した。その他にも、知人の保釈金や遊興費名目で、多額の現金を実母に引き出させるなどしたという。

 05年秋ごろ、関係者が男性についての調査を依頼され、財産が不自然に減っていることを確認。実母が心臓病や脳萎縮(いしゅく)にかかっていることも判明し、後見人を代えることになった。

 【成年後見制度】 成年後見制度 認知症や知的障害、精神障害のために判断力が十分でない人を保護するため、00年4月にスタートした。後見人として選任された親族や弁護士、司法書士などが、本人に代わって財産管理や契約をする代理権を持つ。家庭裁判所が親族などの申し立てを受けて後見人を選ぶ「法定後見」と、将来に備えて本人が自由に選ぶ「任意後見」がある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080119-00000009-mai-soci