記事登録
2008年01月18日(金) 20時33分

古紙偽装、業界ぐるみ否定も呉越同舟産経新聞

 再生紙はがきなどで古紙配合率が偽装されていた問題で、業界最大手の王子製紙、三菱製紙、大王製紙、北越製紙のトップらが18日、偽装を認め頭を下げた。すでに社長が引責辞任を表明した日本製紙を含め、有力5社すべてが偽装を認めた。
 一昨年には北越製紙をめぐる買収騒動で、業界中が敵味方に分かれ激しい火花を散らした製紙業界。「業界ぐるみではない」。各社トップは弁明に躍起だが、呉越同舟で環境偽装をしていたことが明らかになった。
 王子製紙の篠田和久社長は、「(再生紙の)受注量が増えていくなかで、古紙がなく、配合が下がってしまった」と釈明。「同業他社がやっているからうちもやるという発想はない」と強調する一方で、「当社の体質が業界の体質とイコールだとすれば、古い体質を引きずっているのかもしれない」とも述べた。
 三菱製紙の佐藤社長は「お客さまの要求する品質に重きを置き、再生紙比率をないがしろにした。コンプライアンス上問題があった」と自社の体質を自己批判。業界ぐるみを指摘する質問には「それは全くない。各社がどういう配合率になっているのかは知らない」と強く否定した。
 大王製紙ではインクジェット年賀はがきにおける古紙パルプ配合率が“ゼロ”だったことが明らかになった。井川意高社長は、「古紙配合率の基準が厳しすぎると感じていたが、他社はできるのではと疑心暗記になり、受注を失うことになるのではないかと言い出せなかった」と、背景に熾烈(しれつ)な競争があったことを示唆した。
 業界ぐるみの偽装に、環境政策が専門の早稲田大学政治経済学部の寄本勝美教授は「社会全体で持続可能な循環型社会構築の一助として古紙を利用しようとしているのに裏切り行為だ」と指摘。その上で、各社が偽装に手を染めた背景について「『品質上の問題』が理由なのではない。古紙は輸出が伸びて入手しにくい状況にあり、業界全体に国内では古紙を使いたくない姿勢が蔓延(まんえん)しているように思える」と話している。
 また、鴨下一郎環境相も同日の会見で、「消費者を裏切る行為だ。各社がきちんと情報公開し、説明する必要がある」と製紙業界を批判した。

【関連記事】
「環境偽装」は業界最大手でも 王子製紙社長が会見
複数の再生紙製品で偽装 王子製紙、社長は辞任せず
富士ゼロックス、キヤノン、リコーが再生紙の販売中止
日本製紙、コピー用紙なども偽装 再生紙の配合率
年賀はがきも”偽装“なの? 古紙の配合わずか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080118-00000947-san-soci