記事登録
2008年01月18日(金) 21時56分

【ルポ大阪府知事選】応援に芸能人は必要か産経新聞

 「熱い思いを込めたボールをさあ、投げてください」。アナウンサーの合図で、壇上の熊谷貞俊がサッカーボールを投げると、集まった約700人から歓声がわき起こった。
 激戦が伝えられ、注目度がさらに高まっている大阪府知事選。2週間以上にわたる選挙戦も半ばを過ぎた18日夜、大阪市内のホールで開かれた熊谷を励ます会。主催したのは熊谷の知人や同級生、教え子らで作る後援会。プロゴルファーの杉原輝雄(70)やギタリストのクロード・チアリ(63)らも駆けつけ、「ぜひ熊谷さんを大阪の知事に」と呼びかけた。
 著名人たちの登場に、会場は大いに盛り上がったが、民主党府連事務局長の森本實(60)は「タレントとしてではなく、熊谷を慕う友人として参加してくれた。来週は俳優の藤田まことさんも来る予定だが、あくまで友人としての応援です」
 テレビでなじみの深い橋下徹の出馬で、一時はタレントによる応援合戦すら予想された今回の選挙戦。実際には、各陣営とも、そうした応援は前面に出していない。宮崎県の東国原英夫知事(50)がひたすら政策を訴える戦略で圧勝したことや、「軽く見られがち」というイメージもあり、敬遠されているようだ。
 橋下も告示後、タレント仲間たちによる応援は全く受けていない。陣営幹部は「応援に来れば人は集まるが、政策について話してもらうことはない。それよりも、橋下の訴えを聞いてほしい」と話す。
 もともと知名度が高い橋下だけに、街頭演説には多くの聴衆が集まる。有名人の力を借りてまで人を集めなくとも十分盛り上がるという考えだ。 ただ、大阪市中央区の橋下の選挙事務所のオープンスペースの壁には、一般の支援者に混じって島田紳助や円広志らの激励メッセージも記されている。15日には島田本人が事務所を訪れ、スタッフらに餃子を差し入れるなど、“後方支援”は行われているようだ。
 一方、梅田章二は「他の候補がどんな戦い方をしようが、関係ない。私は政策を訴えていくだけ」とマイペースだ。18日に熊谷のもとに有名人らが応援に訪れたことについても、「自分の性格に合わないので、好きではない。うらやましいとも思わない」と、きっぱり。今後も、党中央の幹部らは来阪する予定だが、タレントの応援はないという。
 副事務局長の植田保二(59)は「パフォーマンスを完全に否定するわけではない」とした上で、「抽象的な政策内容を補うために有名人を呼んで支持を得ようとしているのだろうが、いったいどれぐらいの効果があるのか。われわれはあくまで正攻法で戦う」と話した。(敬称略)

【関連記事】
「売れっ子」出馬でTV局大慌て 大阪府知事選
「お笑い票」の行方は? 大阪府知事選、後半戦へ
【ルポ大阪府知事選】小沢、田中康…熊谷陣営に強力助っ人
大阪府知事選に5氏が届け出 27日投開票
【渾身の前夜ルポ】大阪府知事選、10日告示

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080118-00000960-san-pol