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2008年01月18日(金) 08時02分

NHK記者らにインサイダー疑惑 モラル低下報道現場にも産経新聞

 内部情報を知る者には極めて誘惑的で模倣性が強いとされるインサイダー取引。今回のように直接ニュースを扱う現場の人間が、私腹を肥やすことはたやすい。それゆえ情報を扱う報道機関には高いモラルが求められ、一線を踏み越えれば、報道に対する信頼を根底から揺るがすことになる。

 NHKによると、職員が特ダネ情報を得た端末は、本局、地方局、海外にいたるまで、約1000台が配置されている。放送直前に制限が解除されるまで、幹部など特定の者以外は閲覧できないようになっているが、今回は放送22分前にロックが解除され、職員はこの短いスキをついて情報を得たようだ。

 今回のケースについて、NHK側は「この種のニュースとしては解除の時間が早すぎた」と運用上の甘さを認めているが、システムの改善などは今のところ予定しておらず、再発防止の決め手はない状態だ。部署も違う3人が、同時に取引をしていた事実は「他にもあるのでは」という疑念も生む。

 同局では就業規則や放送ガイドラインで、「職務上知り得たことを個人的な利益に使ってはならない」と規定しているが、インサイダー取引につながる経済情報の扱いについて文章化された規定などはなく、経済部記者とその家族による株取引の自粛などを、折に触れ口頭で伝えているのみという。

 不祥事が相次ぐNHK。今回の事件は、モラル低下が報道の現場にまで及んでいることを示している。再生を掲げる橋本元一会長は「あらためて組織に警報を発しないといけない」としているが、信頼回復への道は再び遠のいた。(草下健夫)


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