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2008年01月18日(金) 02時32分

<神功皇后陵>宮内庁が立ち入り調査許可 考古学協会に通達毎日新聞

 宮内庁は17日、古墳時代のものとされる奈良市の神功(じんぐう)皇后陵(五社神(ごさし)古墳)の立ち入り調査を許可することを決め、日本考古学協会に通達した。陵墓への立ち入り調査は、宮内庁が補修工事を行う際の見学は認めてきたが、学会側要望を受けた許可は初めて。今後、他の陵墓の立ち入り調査についても申請があれば検討し認めていく方針だ。

 神功皇后陵は第14代仲哀(ちゅうあい)天皇の妻が葬られたとされ、全長約275メートルの前方後円墳。4世紀後半から5世紀初めに造られたと考えられている。宮内庁によると、立ち入りを認めるのは1段目の平らな部分までで、撮影は可能だが、発掘はできない。調査は2月中旬ごろになる見通し。

 歴代天皇や皇族を埋葬した陵墓について、宮内庁は「御霊(みたま)の安寧と静謐(せいひつ)を守るため」などとして学術調査を認めてこなかった。

 しかし、79年から年1回ペースで、宮内庁が補修時に行う発掘調査を学会などに見学させてきたことや、過去のこうした調査で安全性から立ち入りを認めたことがある−−などから、昨年1月に陵墓管理に関する内規を変え、研究テーマを問わず申請があれば審査の上、調査を受け入れるよう方針転換した。

 同協会理事の高橋浩二・富山大准教授は「調査範囲が限定されているとはいえ、大きな一歩と考えている。今後も他の陵墓の公開を申請していきたい」と話している。【真鍋光之】

 ▽陵墓 宮内庁は歴代の天皇、皇后、皇太后らを埋葬した場所を「陵」、それ以外の皇族は「墓」としている。近畿地方を中心に、1都2府30県に陵188基、墓552基がある。形状は時代によって異なり、前方後円墳、石塔などさまざま。陵墓の可能性がある「陵墓参考地」を合わせると、全国で458カ所、計896基になる。仁徳天皇陵とされる大山古墳(堺市)は面積46万4000平方メートルで最大規模の前方後円墳。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080118-00000015-mai-soci