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2008年01月17日(木) 16時00分

消防本部の53%利用せず 救急医療情報システム東京新聞

 救急車が急患を運ぶ病院の空きベッド状況などを把握するための「救急医療情報システム」を備えている43都道府県の745消防本部のうち、約53%の本部が同システムを利用していないことが総務省消防庁のまとめで分かった。

 情報を入力する病院側の人手不足で情報の更新が遅くなり「リアルタイムの情報が得られない」ことが主な理由。

 宮城県が昨年秋に独自に行った全国調査を基に、同システムがない山形、島根、沖縄と未回答の大分の4県を除き、市町村や広域行政組合の消防本部を対象に、消防庁が集計。17日に開かれた救急搬送に関する同庁の検討会作業部会に報告した。作業部会は3月末までに改善策をまとめる。

 報告によると、搬送先の選定に同システムを「全く利用していない」消防本部が23・4%の174、「ほとんど利用していない」が29・5%の220あり、合わせて半数を超えた。「主たる手段として利用」しているのは14・9%の111本部にとどまった。

 利用していない理由では99本部が指摘した「リアルタイムの情報でなく、情報の信ぴょう性が低い」が最多で、多くの病院では「情報が1日2回程度しか更新されていない」状況にあることが主な原因だった。

 救急搬送先の病院があらかじめ決まっている「当番制、輪番制が確立されているので十分」という回答も、95本部あった。

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 東海3県の消防本部のうち、津市では輪番制でその日の搬送先の病院が決まっているため、同システムは「ほとんど利用していない」。同市消防本部通信指令課の担当者は「輪番の病院が受け入れられない場合に利用することはあるが、半日くらい情報が更新されない病院も多いので、あてにできない」と話す。

 一方、名古屋、岐阜両市の消防本部は「主たる手段として利用」と回答。名古屋市消防本部は「多くの医療機関の中から患者の容体に合った所を検索できるので便利」としている。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008011790155842.html