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2008年01月17日(木) 21時15分

サントリーが豚カツの「まい泉」買収へ朝日新聞

 サントリーは17日、とんかつ総菜店「まい泉」を展開する「井筒まい泉」(東京都)を買収すると発表した。後継者不足に悩む同社の事業を引き継ぎ、料理を自宅などに持ち帰って食べる「中食(なかしょく)」事業に初めて参入する。サントリーはすでに「ファーストキッチン」「サブウェイ」などの外食事業を展開しているが、まい泉買収で中食のノウハウも取り込み、飲食関連ビジネスの一層の拡大を目指す考えだ。

サントリーが買収する、まい泉の店舗。夕方になると列ができる=大阪市北区の阪急百貨店で

 サントリーは2月末までに、まい泉の創業家から約95%の株式を買い取り、3年後をめどに完全子会社化する。買収金額は数十億円とみられる。まい泉の小出千代子社長(77)は2月末をメドに会長に就き、サントリーが社長を派遣。共同で食材調達や商品開発に取り組んでいく。

 まい泉の昨年度の売上高は72億円。収益源の多角化を目指すサントリーは、現在830億円の外食事業の売上高を1000億円に拡大させる目標を掲げており、今回の買収もその一環とみられる。

 少子高齢化で外食産業が苦戦するなか、総菜販売を中心とした「中食」市場は元気だ。調査会社「富士経済」の調べでは、02年は5兆5338億円だった「テークアウト市場」は、07年は5兆7789億円に。今年は5兆8000億円台に乗ると見られている。日本総菜協会の石田弥会長は、「核家族化や高齢化で、家で大量に調理しなくなり、『食の外部化』が進んでいる」と分析する。

 ただ、まい泉の看板商品である揚げ物類は、「総菜の中でも、最近の健康志向で伸びが鈍い商品」(業界関係者)と指摘する声もある。事業拡大に向け、克服すべき課題もありそうだ。

 井筒まい泉は65年創業。代表者の小出社長が東京・日比谷で開いた豚カツ屋が始まりだ。72年に東京・銀座の三越に総菜店を出店。看板メニューの「かつサンド」などで業績を伸ばし、現在、総菜店38店とレストラン7店を展開している。

 業績は堅調で、経常損益も約1億〜3億円の黒字を維持してきた。だが長年、会社を引っ張ってきた小出社長の後継者が育たず、「家業から企業に脱皮し事業を成長させて欲しい」と、金融機関を通じてサントリーに事業継承を打診していた。 アサヒ・コムトップへ

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