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2008年01月13日(日) 11時40分

携帯に潜む甘いわな読売新聞

未成年 性犯罪の標的
フィルタリング機能の利用が、犯罪から身を守る第一歩に(山形市内で)=本文とは関係ありません

 買春などの温床とされる、携帯電話の出会い系サイトを利用した犯罪で、未成年者が被害者になるケースが後を絶たない。県警によると、2007年に起きた携帯電話の出会い系サイトや情報掲示板を悪用した犯罪は25件(前年比47%増)。前年の2・3倍に当たる34人が検挙された。詐欺や窃盗なども発生し、手口は多様化しているが、未成年者が被害に遭う性犯罪が依然として全体の約半数を占めている。

 全国的な対策として、大手携帯電話会社が、未成年者の携帯電話購入の際、有害サイトに接続できなくするフィルタリング(選別)機能の原則加入を勧める動きもあり、県警もこうした被害防止対策の活用を呼びかけている。犯罪別の内訳では、18歳未満の中学・高校生らがわいせつ行為などの被害を受ける県青少年保護条例違反が最も多い7件(前年と同数)。児童買春・児童ポルノ法違反は3件(前年比2件減)だった。前年はいずれも0件だった、詐欺が4件、窃盗が3件発生した点も特徴だ。

 青少年保護条例違反などで未成年者が被害に遭った事件は計12件(同2件減)に上り、07年12月には、秋田県内の女子中学生(当時14歳)が携帯サイトで知り合った千葉県内の男(31)に誘い出され、わいせつ目的で連れ回される誘拐事件も起きている。

 出会い系サイトを悪用した犯罪が相次ぐ背景には、携帯電話の所有者の増加とともに、被害者の孤独感につけ込む手口の悪質さがうかがえる。

 詐欺事件のうち、山形市の無職の男(24)が、出会い系サイトで誘い出された複数の男性に架空の投資話を持ちかけて金をだまし取ったケースは被害総額が1000万円を超えた。この事件は、07年9月に同市で起きた出会い系サイトを利用した強盗傷害事件で、男らが逮捕されたのがきっかけとなって判明した。

 07年6月末、村山地方の女子中学生(当時14歳)が、携帯電話の情報掲示板で電子メールを交わす相手を募ったところ、「山形市内に住む男子学生」と名乗る少年(19)から返事があった。メールのやりとりを経て、女子中学生は7月上旬、この少年の自宅に誘い込まれ、わいせつな行為をされた。少年はその後、逮捕され、女子中学生は「塾が忙しくて友達と遊ぶ時間がなかった。寂しかったので、メールをする相手が欲しかった」と話したという。

 県警少年課は、こうした犯罪では被害届を出さない人もいるため、事件として表面化するのは全体の一部にすぎないと見ている。その点も踏まえ、「興味本位で有害サイトを利用しないように気をつけてほしい。学校や親も、子どもたちがフィルタリング機能を利用するように心がけてもらいたい」と呼びかけている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20080113-OYT8T00136.htm