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2008年01月13日(日) 21時00分

日本菓子専門学校に厚労省が立ち入り調査 少ない授業で受験資格産経新聞

 国家資格「製菓衛生師」の養成施設に指定されている「日本菓子専門学校」(東京都世田谷区)が長年にわたり、通信教育課程の面接指導を法令で定められた時間より少なく実施したにもかかわらず、試験の受験資格を与えていたことが13日、分かった。学校は国に通信教育課程の時間数を水増し申告して指定を受けたことを認め、現在は通信教育課程の募集をしていない。監督する厚生労働省関東信越厚生局も不正を把握し、10日に立ち入り調査した。事実確認を進め、改善を求める方針。
 製菓衛生師法などによると、試験を受けるためには、指定養成施設で1年以上、必要な知識と技能を習得するか、菓子製造業に2年以上従事する必要がある。通信教育課程に義務づけられている面接指導の授業時間は、食品衛生学や栄養学、製菓理論など計204時間以上。生徒が菓子製造業に従事している場合は、102時間以上になる。
 しかし、日本菓子専門学校総務局によると、通信教育課程は2年制で、面接指導の授業時間は計約60時間のみ。法令の基準を満たしていなかったが、卒業生に受験に必要な卒業証書を交付していた。
 学校は昭和42年に養成施設に指定されたが、当初から授業数が少ない状態が続いていたという。総務局は「はじめのころは生徒の大半が菓子の知識を求める菓子製造従事者。従事者は実務経験があれば受験資格を得られるため、時間数を軽視した」と説明する。
 その後、従事者以外の受講が目立つようになり、学校内でも不正を問題視する声は上がっていたが、「全国に住む生徒に東京で204時間の面接指導を受けてもらうのは困難であることなどを理由に、問題は放置された」(総務局)という。
 学校は法令順守のため、昨年11月に通信教育課程の募集を中止した。現在も約500人の生徒が在籍しており、補習を行う方針。通信教育課程の卒業生は約4730人だが、このうち何人が受験、合格したかは把握していない。学校は「認識が甘く、生徒に迷惑をかけた」としている。
 関東信越厚生局は数年前にも調査を行ったが、「1日だけの調査ということもあり、不正は確認できなかった」と説明。昨年末に外部からの情報提供があったため、立ち入り調査に踏み切った。
 厚生労働省食品安全部企画情報課は、通信教育課程出身の合格者の扱いについて「事実確認中でコメントできない」としている。

 ■製菓衛生師
 菓子製造業に従事する者の資質を向上させ、公衆衛生の向上と増進を図ることを目的に作られた国家資格。この資格がなくても菓子製造は可能だが、製品の信用が高まるためニーズがあり、平成18年度末時点の有資格者は14万5295人。

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