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2008年01月12日(土) 18時31分

<三菱車欠陥裁判>トップの責任は?…横浜地裁・注目の判決毎日新聞

 三菱自動車(現在は三菱ふそうトラック・バス)製大型車の欠陥隠しをめぐる三つの刑事裁判で、最後の1審判決が16日、横浜地裁(鈴木秀行裁判長)で言い渡される。同社のリコール隠しが発覚した00年に、社長だった河添克彦被告(71)ら元最高幹部の4被告がクラッチ系部品の欠陥を放置し、部品破断で死亡事故が起きたとされた。製品の安全をめぐるトップの責任への司法判断が注目される。

 02年10月、山口県で男性運転手(当時39歳)の死亡事故を招いたとして業務上過失致死罪に問われたのは他に▽元副社長の村田有造(70)▽元副社長で三菱ふそう元会長の宇佐美隆(67)▽三菱自元品質・技術副本部長の中神達郎(65)の3被告。検察側は河添、村田両被告に禁固3年、宇佐美、中神両被告に禁固2年6月を求刑。弁護側は無罪を主張している。

 検察側は、運輸省(現国土交通省)の監査でリコール隠しが発覚した00年当時のトップが、改善徹底を指示できたとして責任を重視。4被告は、長年行われてきた不具合情報の一部を隠す「二重管理」と、国に無届けでヤミで修理する「指示改修」の実態を熟知し、事故が予見できたのに「不具合情報の隠ぺいを指示した」と主張する。

 一方、弁護側は担当者が独自に判断して不具合情報を選別したと反論する。4被告は二重管理や指示改修の実態を知らず、担当者に「リコールすべきものはリコールするよう」指示したと訴える。

 先行した二つの刑事裁判の判決は有罪と無罪に分かれ、控訴審に進んでいる。ハブの欠陥を放置し、横浜市で02年に母子3人の死傷事故を招いたとして三菱自元市場品質部長、村川洋被告(61)ら2被告が業務上過失致死傷罪に問われた裁判は、横浜地裁が07年12月に有罪を言い渡した。判決は、リコール回避を目的に同社が二重管理を組織的に続けたと認定。今回の判決への影響が注目される。

 横浜市の死傷事故後、国に虚偽報告をしたとして宇佐美被告ら4被告が道路運送車両法違反罪に問われた裁判は、横浜簡裁が06年12月に無罪判決を言い渡した。【鈴木一生】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080112-00000057-mai-soci