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2008年01月12日(土) 20時49分

<台湾立法院選挙>大勝の勢いを2カ月後の総統選へ 国民党毎日新聞

 【台北・庄司哲也】台湾立法院選挙で、最大野党の国民党が過半数を超え、大勝する見通しとなった。政権の奪還を目指す国民党は、この勢いを2カ月後の総統選に持ち込む考えだ。与党・民進党は態勢の立て直しを迫られるが、投票までの時間は限られ、苦境に追い込まれた。

 優勢が伝えられた国民党は、総統選候補の馬英九・前主席が候補者応援のために台湾全土を駆け回り、馬氏のカラーを前面に押し出した。今回の躍進で馬氏の存在感がさらに高まったことは、総統選の有利な材料となる。

 国民党は、民進党の陳水扁政権下で広がった格差など経済政策の「失点」を指摘した。総統選でも住民に身近な問題に焦点を絞り、攻勢を強めるとみられる。

 苦戦が予想された民進党は、主席を兼任する陳総統が陣頭指揮を執った。強調すべき政治実績を持たず、「台湾か中国の選択」と選挙のたびに使ってきた中台や台湾住民内の対立をあおる手法に頼らざるを得なかった。

 05年12月の統一地方選では、投票直前に陳総統の元側近が汚職事件で摘発され、06年12月の台北、高雄両市長選でも陳総統夫人が、公費の横領で起訴されるという民進党にとって逆風が吹く中、選挙戦を戦った。だが、今回は民進党に影響を及ぼすような直前の大きな失点は見当たらなかったにもかかわらず、国民党に大きく水をあけられてしまった。

 今回の結果を受け、陳総統が総統選との同時実施を推進する台湾名での国連加盟の可否を問う住民投票もトーンダウンしそうだ。陳総統は党内の主導権を失い、責任論が浮上するとみられる。

 民進党にとっての救いは、総統選での主役が総統選候補の謝長廷・元行政院長(61)に交代することだ。立法院選では、陳総統が前面に出て、陳カラーの印象が強かったからだ。謝氏が陳総統の後ろに隠れたことは、総統選に向けて敗戦の影響を最小限に食い止めた可能性もある。

 だが、議会を国民党が支配するという構図に変わりはなく、総統選で謝氏が勝利しても、陳政権に続いて少数与党の苦しい政権運営を迫られることが確実となった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080112-00000095-mai-int