記事登録
2008年01月11日(金) 07時42分

「ネットカフェ難民」支援 都、新宿に拠点設置へ東京新聞

 住む家がなくインターネットカフェを泊まり歩く、いわゆる「ネットカフェ難民」への対策として東京都は十日、支援の拠点となるサポートセンターを新宿区内に設置する方針を決めた。四月のオープンを目指しており、生活・就労の相談に乗る。アパートの入居費用など当座の生活資金を、無利子で貸し付ける制度も開始し、安定生活へ背中を押していく。

 都は「働く意欲がありながら生活保護水準以下の収入しかない低所得者」の支援として、新年度予算案に総額九十七億円の対策費を見積もった。各区市町村に相談窓口を設置し、正規雇用への道を手助けする。具体的には、職業訓練の無料実施や奨励金の支給、訓練生を正社員として採用した企業への助成−などを計画。就職が決まった人には、引っ越し代やアパート敷金など当面の生活費用を、最大六十万円まで無利子で貸し付ける。

 ネットカフェ難民のサポートセンターは、この一環。社会福祉法人など営利を目的としない法人に業務を委託し、都の新制度の利用を受け付ける窓口とする。センター職員は都内のネットカフェを定期的に巡回し、現状把握に努めるとともに、カフェの利用者に制度の周知を図る。

 厚生労働省の二〇〇七年夏の調査では、ネットカフェで週半分以上寝泊まりしていた人は、全国で約五千四百人と推計。東京二十三区には、四割の約二千人がいた。平均月収は十万七千円で、住む家のない理由を聞くと▽敷金などが貯蓄できない(66・1%)▽相談窓口や情報収集機会がほしい(58・0%)▽保証人がいない(31・3%)−などの声があった。

 都は、事業の対象者を「支援により、自立した安定的な生活を送ることが期待できるもの」と定め、こうした悩みに応えていく考えだ。

■法律相談の充実を

 ネットカフェ難民支援に取り組む法律家でつくる「ホームレス総合相談ネットワーク」メンバーで司法書士の後閑一博さんの話 対象者の範囲を広く取るなら歓迎したいが、都の想定がどのあたりにあるのか気掛かりだ。ネットカフェ難民には、多重債務者も多いので、法律相談の体制も充実させないと、貸付金が焦げ付く心配もある。

(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008011190070301.html