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2008年01月10日(木) 13時15分

松下電器、社名も「パナソニック」に ブランド名と統一朝日新聞

 松下電器産業は10日、会社名を国内外でブランド名として利用している「パナソニック」に変更する方針を明らかにした。欧米やアジア市場では、ブランド名のパナソニックが、社名の松下より浸透していることから、社名も統一して世界的なブランド戦略を強化するねらいで、社名から創業家の名称が消えることになる。国内で使用している「ナショナル」ブランドも廃止する方針。同日午後に正式発表する。

 現社名の松下電器産業は1935年から使っている。パナソニックは1955年、輸出用スピーカーに採用したのが始まりで、61年には北米市場で使用するブランドとして採用された。松下によると、PAN(あまねく)とSONIC(音)を組み合わせ、「松下電器の音をあまねく世界へ」という意味を込めた。

 一方、廃止が決まったナショナルは、創業者の松下幸之助が1927年に自転車用の角型ランプに初めて採用したブランドという。「国民の必需品にしたい」との思いが込められている。

 松下は国内では、冷蔵庫、洗濯機など白物家電製品に「ナショナル」ブランドを、パソコンや映像・音響機器には「パナソニック」ブランドを活用してきた。海外ではパナソニックブランドで統一して販売しており、松下よりもパナソニックが浸透している。

 結果的に、松下、ナショナル、パナソニックという3ブランドが並び立つことになり、社名が世界中で広く知られているソニーと比較すると、「ブランドイメージで大きく見劣りする」(松下関係者)という見方が強く、社名を変更する動きは、中村邦夫会長が社長だった時代から検討されていた。この時期実行に移したのは、薄型テレビなどAV機器の北米市場でシャープやサムスンなどとの競争が激化、ブランド力を高めて対抗することが急務だと判断したとみられる。

 松下電器は既に、松下電工を子会社にした際にもブランド名を整理している。創業者が命名したナショナルの廃止には慎重な意見が多かったが、「今回の社名変更や統一が一連のブランド改革の集大成」(松下関係者)とみられる。 アサヒ・コムトップへ

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