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2008年01月09日(水) 14時40分

リコール社告にJIS統一基準、経産省が5月にも公示読売新聞

 欠陥や不具合のある製品の回収や無償修理などを新聞広告で知らせる「リコール社告」について、経済産業省が日本工業規格(JIS)として標準化するための素案が9日、明らかになった。

 製品トラブルが相次ぎ、社告掲載数は急増しているため、各社様々で「わかりにくい」と不評の表記内容を統一する。経産省は5〜6月をめどにリコール社告のJIS制定を公示する方針だ。

 経産省所管の財団法人日本規格協会と、消費者団体の主婦連合会が2007年12月からJIS原案作成委員会を開き、消費生活用製品のリコール社告に関する指針案をまとめた。

 指針案には、記載する項目として〈1〉製造・販売業者名〈2〉製品名と型式〈3〉事故の状況とその原因〈4〉製品の販売数や販売時期〈5〉消費者が取るべき対応策〈6〉業者の連絡先〈7〉製品の概要(イラストや写真)——など10項目を挙げ、具体例も示した。

 現在のリコール社告には「謹告」や「おわび」などの文言が冒頭に使われることが多い。社告例ではいきなり「回収」と記し、文中におわびの言葉はなく、簡潔なものとなっている。

 JIS規格には法的強制力はないが、「伝えるべき情報を最低限盛り込める」(日本規格協会)ため、企業がひな型として活用することが期待できる。消費者団体などは、リコール社告の規格を、工業製品だけでなく食品など他の分野にも普及させたい意向だ。

 経産省所管の独立行政法人・製品評価技術基盤機構によると、いわゆるリコール社告は年々増加傾向にあり、07年は194件と06年より36件増えた。ただ、体裁や内容には統一基準がなく、企業に任されているのが現状だ。主婦連の佐野真理子事務局長は「社告には、あいまいさや内容に矛盾のある表現が目立つ。商品に問題があるのかないのか分かりにくく、消費者が混乱する」と指摘している。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080109i407.htm