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2008年01月09日(水) 22時57分

情報処理費、節約に差 金融庁24%減 防衛・法務ゼロ朝日新聞

 政府の情報処理予算をめぐり、各省庁の「節約ぶり」に差が出ていることが分かった。入札に競争があるかどうかで違いが生じているとみられる。社会保険庁が年金記録システムを随意契約で発注したことも「ムダ」につながると批判された。コンピューターシステムの開発や運用が業者の言いなりで発注されていないかどうか、点検が必要になりそうだ。

 政府のシステム開発、運用、維持・管理などの費用が計上されている情報処理関連の「庁費」は06年度一般会計で約600億円。その大半を占める本庁予算のうち決算段階で余った「不用額」の割合を計算したところ、23.7%の金融庁から、0.1%未満の法務、防衛両省や最高裁判所まで大きな開きがあった。

 予算が余るのは、入札で競争が行われ、発注した各省庁側が予想していた価格よりも安く落札された結果といえる。

 金融庁の不用額が多い結果について、小泉政権で金融担当相を務めた伊藤達也衆院議員は「システムの発注・運用・管理などの方法を見直した成果が出ている」と語る。

 伊藤氏は、政府のコンピューターシステムの調達改革を掲げた自民党「e—Japan特命委員会」事務局長も務めた。伊藤氏は「かつて金融庁は特定業者が業務の多くを請け負う『なれ合い』の状況で、入札をしたとしても実質的には落札業者が決まっている状況にあった」と話す。

 システムを開発した業者が運用、維持・管理や補修を行うことも慣例化しており、「開発の損をあとで取り戻すだけでなく、大きな利益をあげることが確実な仕組みになっていた」という。システムに関する官僚の知識が乏しいこともシステム業者への依存を深めた。

 このため、金融相に就任した伊藤氏は、官僚のアドバイザー役として、専門知識を持つ民間技術者6人を「CIO(最高情報責任者)補佐官」として採用した。「業者の協力で作られた疑いが強かった」(伊藤氏)システム発注の要件などを示す「仕様書」を自力で作ることで、業者とのしがらみを切ったという。

 04年度までさかのぼって決算を調べたところ、金融庁、警察庁、厚生労働省は「不用額」が3年続けて10%を超え、「節約」が定着しつつある。

 伊藤氏は「ほかの省庁は、まだ改善の余地がある。競争の促進に成功している事例を他省庁にも広げるべきだ」と指摘している。 アサヒ・コムトップへ

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