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2008年01月09日(水) 15時21分

非常勤医名義で診療所 省通知違反か メディカルサロン朝日新聞

 向精神薬マジンドールを不正処方した疑いが浮上しているメディカルサロングループが05年6月、東京都内で診療所を開設する際、非常勤の医師を開設者として届け出ていたことがわかった。旧厚生省(厚生労働省)の通知などでは、開設者(管理者)は常勤医が原則とされており、同グループが届け出の際、保健所に対し、虚偽の説明をしていた疑いも浮上している。

 医療法は、診療所の開設者が同時に管理者として勤務することを求めている。管理者には診療所運営に不可欠な義務が多数あり、厚労省は「非常勤では不十分で、原則常勤でなければならない」としている。

 問題となっているのは、無資格でマジンドールを処方したとして、医師法違反容疑で逮捕された岡村沙代里容疑者(29)が実質的な責任者だった「メディカルサロンプラザクリニック」(東京・六本木)。開設者は神奈川県の総合病院の医師で、現在も同病院の幹部として常勤している。

 この医師によると、同グループ代表の医師、風本真吾容疑者(44)=医師法違反容疑で逮捕=と会食した際、新たに届け出る診療所の開設者となることと、非常勤で勤務することの打診を受け、応諾。その後、同グループは05年6月、東京都港区の保健所に開設を届け出た。

 医師は週1日だけ、同クリニックで勤務し、マジンドールの処方にも携わっていた。近畿厚生局麻薬取締部がマジンドールの不正販売容疑で捜査に乗り出し、同クリニックも家宅捜索を受けたことなどから、医師は昨年12月に辞任を願い出た。これを受け、同グループは今月7日、診療所としては廃止すると保健所に届け、現在はエステ店となっている。

 この医師は朝日新聞の取材に「週1回の勤務だった。それ以外の日は別の医師が勤めていたと思う。詳しくは分からない」と話した。辞任については「捜査対象の診療所での勤務は、好ましくないと判断した」と説明したが、従業員によるマジンドールの不正処方容疑については、「何も知らない」としている。

 こうした経緯の背景には、名古屋、大阪両市のエステ店が04、06年に、診療所開設の届け出をしないまま、医療行為をしていたとして、地元保健所から改善の指導を受けていたことがあったとみられる。

 大阪地検と同取締部は、こうした無届けの診療行為が問題となったことから、非常勤医を開設者にして届け出た疑いがあるとみて、ほかの診療所の開設の経緯にも関心を寄せている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0109/OSK200801090035.html