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2008年01月07日(月) 14時06分

「ワンマンで傲慢」 公金横領容疑の奈良・高取町長産経新聞

 大阪地検特捜部が7日、業務上横領容疑で取り調べを始めた筒井良盛・奈良県高取町長(62)。町長を連続4期15年務める間、厳しい財政状況にもかかわらず、「ハコモノ行政」を積極的に推進し、周囲からは「独善的」という評価を受けるようになっていた。
 筒井町長は平成5年の初当選直後から、大型公共事業に意欲をみせ、工業団地や住宅開発、温浴施設を中核とした「たかとり健幸(けんこう)の森公園」を計画。工業団地計画がバブル崩壊で行き詰まる一方、同公園には総事業費約20億円を見込み、関連の造成工事などを進めている。
 選挙戦では、当時の現職との一騎打ちとなった5年1月の町長選は町を二分する激戦となったが、8年12月の再選時は無投票。町外在住の新人との一騎打ちだった3、4選目は事実上の信任投票で圧勝している。
 しかし、工業団地計画の用地買収や、公園事業にかかわる多額の費用は、人口約8000人、今年度の一般会計当初予算総額約38億円の町に重くのしかかり、筒井町長が推進した同県橿原市など6市町村との合併協議も不調に。関係者は「高取には表に出ない借金が膨大にある。合併によって自らの赤字をうやむやにしようとしているのではないか」といぶかる。
 筒井町長は、町のホームページに「町長室日記」を随時掲載。今月1日付では「行財政改革を進めながら、活気のある『健幸のまち・たかとり』実現にむけ、職員一丸となってがんばる」と抱負をつづった。一方、同公園計画については昨年2月の同日記に「町の財政事情を圧迫しているかのような誤解を受けている。町の活力を維持し、未来につなげるにはどうしても必要」と、正当性を強調していた。
 しかし、周囲では地元建設業者などとの結びつきも半ば公然とささやかれた。町議の一人は、筒井町長について「ワンマンで傲慢(ごうまん)。特定の業者に取り込まれてしまった。評価していることは何もない」と言い切った。

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