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2008年01月07日(月) 00時00分

ベルル詐欺事件 巧妙トークで勧誘読売新聞

「募集最後」と契約迫る
竹中容疑者の逮捕を受け、家宅捜索した押収品を運ぶ捜査員ら。全容解明が待たれる(5日、徳島市東大工町で)

 四国4県で約3000人から約46億円を集めたまま突然、営業を停止し、常務の竹中美千代容疑者(52)が詐欺容疑で逮捕された「ベルル生命医療保障共済会」(徳島市)は、顧客に赤飯を贈るなどの贈り物攻勢や巧妙なセールストークで、顧客を勧誘したり、つなぎとめたりしていたことがわかった。「今回で募集は最後」とせき立てて顧客に早期の契約を促したりするなどの手口を駆使。営業停止直前まで勧誘活動を続けていた。巧みなセールスが被害額の拡大につながった形で、県警は実態解明を進める。

 徳島、高知両県警の調べでは、竹中容疑者らが集めた約46億円のうち、介護医療などの共済が37億数千万円、社債が3億数千万円、特別協力金5億数千万円。うちほとんどが返済された特別協力金以外の金の行方がわかっていない。

 竹中容疑者から300万円の社債を購入した徳島市内の60歳代主婦のもとには、誕生日に赤飯を持ってくるなどしていた。「年3%の利息は違法なのでは」と主婦が尋ねると、竹中容疑者は「心配ない」と話したという。営業停止の約10日前にも赤飯を持ってきたが「ふだんと何も変わらない様子で、経営が厳しいとは思ってもみなかった」と振り返った。

 共済などに入った同市内の女性も、誕生日に竹中容疑者から有名和菓子店の赤飯が贈られ、洗剤の詰め合わせなどの中元や歳暮が届けられたという。

 2003年8月、個人自由年金200万円を同共済会の担当者から契約した同市内の女性(57)は「宅配便でお中元とお歳暮を毎年贈ってくれ、きちっとした会社だと思っていた」と話す。

 松山市内の女性(46)は「1口10万円の商品を2〜3口買った。利息は6%。『共済を扱えるのはこれが最後』と言われ、焦って買ってしまった」と明かした。

 00年9月以降、介護医療保障共済と個人自由年金に加入、計約150万円を払い込んだ徳島市の無職男性(75)は契約中、所在地確認のため、月1度、住民票を会社側へ持参していたのを、会社から切手の張られた返信用封筒が送られるようになった。男性は「高齢で出向く大変さを気遣ってくれたと当時は思い、うれしかったが、今思えば、資金源を失うのを恐れ、信頼させるためにやっていたのではないか」と話していた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news/20080106-OYT8T00653.htm