記事登録
2008年01月07日(月) 23時01分

消費者行政、窓口一元化 首相強い意向 官庁新設も視野朝日新聞

 政府は食品偽装事件の続発などを踏まえ、現在は複数の省庁にまたがっている消費者行政の窓口を一元化する方針を決めた。将来的には「消費者庁」のような組織の新設も視野に入れている。生産者重視から消費者重視への転換を掲げる福田首相の強い意向を受けたもので、まずは内閣府などへの窓口の一本化を検討する。

 首相は4日の年頭会見で「本年を生活者、消費者が主役へと転換するスタートの年にしたい」と言明。その後に訪れた三重県伊勢市でも、「赤福」の表示偽装問題に触れつつ、「今の行政は、関係するところが四つも五つもあってわかりにくい。食品の問題が起これば、そこに1カ所行けばいいんだという仕組みを検討している」と記者団に語った。町村官房長官も7日の記者会見で「いっぺんに消費者庁という姿になるかどうか。その可能性も含めて検討していく」と述べた。

 食品表示を例にとると、関係する法律は厚生労働省所管の食品衛生法、農林水産省所管の日本農林規格(JAS)法、経済産業省所管の不正競争防止法など複数ある。このため、監督官庁間の情報共有や連携の遅れなど縦割りの弊害が指摘されてきた。

 ミートホープ(北海道)の偽装牛ミンチ事件では、農水省北海道農政事務所に入った内部告発が、農水省と北海道庁との間で1年余り放置されるという問題も起きた。

 政府内では、所管する独立行政法人「国民生活センター」を通じて消費者行政の窓口となってきた内閣府に情報を集約し、さらに関係省庁に対応を指示できる「是正勧告権」を付与する案が検討されている。

 消費者庁構想については、「首相の消費者重視の姿勢をきちんと示すという意味では、はっきりした形にした方がいいかもしれない」(政府高官)との声がある一方、首相官邸内にも「関係する組織を全部一括にすれば、問題が解決するわけではない」との指摘がある。関係省庁側にも「各地に設置している『食品表示110番』に対して一般消費者からの電話も多い。(現体制は)十分に機能している」(白須敏朗・農水事務次官)と否定的な意見が根強い。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/politics/update/0107/TKY200801070333.html