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2008年01月06日(日) 03時03分

少年、包丁両手に次々切りつける 品川・商店街事件朝日新聞

 年明け最初の週末。買い物客でにぎわう商店街に悲鳴が響きわたり、軒を並べる店に血が飛び散った。「ぞっとした」。商店主ら目撃者が口々にその瞬間を語った。

 最初に女性2人が刺された現場近くの薬局経営者(59)が叫び声を聞いて表に出ると、店の前に女性がうずくまっていた。声をかけようとすると、別の女性が近づいてきて「この人刺されてます。私も刺されたみたい」と話した。傷口にあてた手にじっとりと血がついたため、綿布をあてて応急処置をしたという。

 目撃者らによると、少年は包丁2本を両手に持ったまま商店街を西に走り、最初の現場から数十メートルのスーパーの前で今度は男性に切りつけた。近くの米穀店に駆け込んだ男性にけがはなく、一緒にいた妻も助かった。店の女性(35)は「男性のコートの背中が40センチほど縦にばっさり割れていた。ぞっとした」と震えた。

 さらに数十メートル先の薬局の女性(36)によると、ここには車いすの1人を含む3人が逃げ込んできた。慌てて自動ドアのスイッチを切って閉めたところ、若い男が何か叫びながら両手に持った包丁でドアのガラスをガンガンたたいた。少年は血のついた包丁を掲げながら「神に裁きを」などと叫んでいたという。自動ドアには刃物で傷つけたような跡が残っていた。

 さらに西に進んだ少年は、和菓子店前近くでアルバイトの女子高生に切りつけた。「すれちがいざまだったらしい。服の背中が何カ所か切られていた」。女子高生が逃げ込んだインテリア雑貨店経営者(63)はそう振り返った。

 その後も、少年は商店街を歩き続けた。ペット用品店の女性(39)は「店頭で包丁を振り回し、血が商品に飛び散った。店に入ってこられたらどうしようと怖かった」。

 商店街が終わる幹線道路の手前で、ようやく少年は駆けつけた警察官に取り押さえられた。近くの包装資材店の男性(36)は「(少年は)無表情で、たいして声もあげずに捕らえられた」と話した。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0105/TKY200801050189.html